デニロ

ウインド・リバーのデニロのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
3.5
少女は、裸足で、零下三十度の雪原を逃げ延びるために10キロも走る。

予告篇にもあったこの冒頭のシーンから、これは何だろうとかんがえる。そして少女の死。それが謎。

舞台は、ネイティブアメリカンの保留地。保留地とはよくも言い放ったものだけど。登場人物は、野生生物の駆除をしているハンター。少女の死を捜査するFBIの捜査官。地元の警察官。ネイティブアメリカン。

雪国のベテランのハンターと、フロリダから来た寒さを知らない捜査官。その対比で物語を綴っていく。

謎を解く鍵はいつも雪原に残る足跡や轍だ。物語はその鍵を開けながら進行していくのだが、それでも冒頭のシーンだけがよくわからない。

零下30度の雪原で走ると肺の中で息が凍結して窒息してしまう、と説明されている。少女は強かった、立派だったと言われても、10キロも走れるものなのか、あまり腑に落ちない。走っている少女の姿に詩のナレーションが被さるが、その内容が何かを示唆しているのだろうか。

最後に、「数ある失踪者の統計にネィティブアメリカンの女性のデータは存在しない。実際の失踪者の人数は不明である。」というテロップが出て、本作の闇が深いことを知る。知識を得たから、何かができるというものでもないですが。

冒頭でわたしが感じた謎は、実はこの映画をなぜ作ったのかということだったのかもしれない。
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