カプチンバード

ウインド・リバーのカプチンバードのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
5.0
「人の生きる意志をどうやって測る?」

真っ白のマイナス30度のネイティブアメリカン居留地。この極地でレイプされた女性が凍死していた。死因は肺胞が凍り肺出血を起こし、自身の血で窒息したことで殺人で捜査できず、担当はFBIではなく所轄の部族警察になる。
殺したのは人でなく自然そのものということになるわけだか、それは本当の理由ではない。

環境省の土地内の捜査では管轄は連邦政府の土地となり、ここではFBIが所管するので捜査できる。縦割りのアメリカの警察組織の隙間を縫うとそこはエアポケットになる。

ウインドリバー先住民居住地の歴史、アメリカの構造的な問題、ドラッグ、アルコール、レイプ、逆さの星条旗…アメリカの影の部分にメスを入れる社会派のハードなサスペンス。

彼女はマイナス30度の環境で10km走り、助けを求めようとしたが生き絶えた。
「10kmを走った『生きたい』という意志」を知った時に心が震える。
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