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奇跡の教室 受け継ぐ者たちへのnaorinのレビュー・感想・評価

3.5
移民の多いフランスにおいて
公立高校内はあくまで無宗教という
前提があるそうだが
多感な時期にある生徒たちを
狭い教室に詰め込めば
宗教的、民族的な諍いも耐えない。

単に教えるということすら
容易ではない、問題のあるクラス。
確かに隙あらば騒いで喧嘩して
まとめるのは
幼稚園児より骨が折れる。
そうして周りの大人たちが
“救いようがない”と
勝手にレッテルを貼りつけた
落ちこぼれの子供たち。
けれど教室の外では
彼らには彼らなりの生き方、
考え、信念があって。
他人に親切にしたり
信仰を大切にしていたり
初めて入る教会では(異教徒だから)
その荘厳さに圧倒される
素直さなんかも持ち合わせていて。
本当に救いようがない子なんて
そういないんじゃないかなと思う。
彼らはただ、若く無知なだけ。
きっかけとなり得るのは
誰と出会い、どんな経験を獲るか。
ゲゲン先生の存在は
日本の学園ドラマとは違って
教壇で熱く語ったり
生徒のピンチに颯爽と駆けつけたり
という感じではなく
あくまで可能性を信じて
静かに導くといった感じで
“奇跡の”教室、という響きは
若干大げさな気もするが
まぁ実話ベースのお話だからね。
実際彼女との出会いや
ああいった経験が転機となり
その後の人生が大きく変わる子は
少なからずいるのだろう。

しかしながら、1年ごとに
新しい生徒たちに向き合う
教師という職は
本当に大変だなぁと改めて思う。

若者が“声”を聞くべき歴史は
たくさんある。
子供たちが成長するために
真の歴史を理解するために
必要な勉強とは
まさしくこういうもの。
教科書をなぞるだけの日本の教育も少しは見習ってほしいと
思わずにはいられない。
生の声が失われる、
間に合わなくなるその前に。
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