takuji

奇跡の教室 受け継ぐ者たちへのtakujiのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

 よくある落ちこぼれクラスと熱血教師の実話ではなかった。
 アウシュビッツの出来事の衝撃よりも多民族国家となったフランスの現状の方が私には衝撃的だった。1クラスにキリスト教徒、イスラム教徒、アフリカ系、アジア系など多様な人種と信仰が混じっている。これではトラブルが起きない方がおかしい。人種・宗教の違う生徒同士の小競り合いは日常茶飯事。この状態でトラブルの責任を教師に負わすのは理不尽にも思える。
 しかしフランスの教師は厳格だ。規則は規則として徹底させる。でないと他の生徒(他の人種、他宗教の生徒)に示しがつかなくなるからだろう。非情にも思えるがしかたないのかもしれない。生徒の信仰より全体の規律を守ろうとするならば。ムスリム女性のスカーフだけでなく、十字架のネックレスも学校では禁止だ。
 バスの中でムスリムの少女がフランス人の老女に席を譲ろうとしても無視されてしまうなど、見ていて辛い。
 生き証人の話でクラスの意識が変わる。語り部の存在の大事さ。ヨーロッパでも日本でも少なくなっていく語り部たち。これからどうなるのだ?受け継ぐ者はいるのか?
 しかし、フランスの女子高生のマセぶりには苦笑する。あのミニワンピは(笑)。
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