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ビルマの竪琴 総集編のginaのレビュー・感想・評価

ビルマの竪琴 総集編(1956年製作の映画)
4.0
言わずと知れた名画。これは戦争を主題とした映画ではない。戦争を背景とした、平和への祈りと命の弔いの映画だ。

これほどにも「死」を直接的に描写する映画はないんじゃないかな。というほど、日本人兵の屍の山のシーンがショッキングです。異郷で無残に命尽きて(放置された)無数の人の魂たちを、水島はひとり、ひたすらに弔い続ける。

そして、竪琴が奏でる「羽生の宿」。イギリス兵と一緒に合唱するシーンは、国も人種も、敵も味方もなく、人間として遠いふるさとを懐かしむ、そんな普遍的な感情を見事に描いている。この感情こそが「和解」や「平和」の源なのだ、と。

ビルマ(ミャンマー)など占領下のアジアで日本人兵がどんなふうに振る舞ったのか、映画ではおそらく省かれている事が多いのだと想像する。でも、この映画は言い逃れをしている嫌な感じはしない。ひとつの芸術作品として、シンプルなテーマを描きたかったんだと思う。

1956年の映画なので、監督やキャストたちは皆、太平洋戦争を知っている。それがとてつもないリアリティを生み出している。そういう意味でも、とても貴重な映画だと思う。勇気はいるが、また繰り返し観たい作品だ。

(※ リメイク版は観ていません)
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