Machigashira

田園に死すのMachigashiraのレビュー・感想・評価

田園に死す(1974年製作の映画)
4.0
かくれんぼの鬼がもういいかいと問う。隠れていた子供たちは成長し一人残された鬼だけが幼子のまま。家の中に一つだけある時計は壊れたままで、大人達が一人一つ自分たちの時計を持つのは家に囚われ自分の時間を手に入れなれない15の少年の有り様を表す。
想い人の年上の女の前で背伸びをして見せ、誘いの言葉に浮かれ家を出ることを決心した時に壊れた家の時計の音が止まる。
しかしそれも都合のいい過去であり、全ての若かりし記憶は作品にする事でそのしがらみから自由になる。作品にする事で過去の自分と語り合い向き合う。身体だけが大人になった。住む場所は東京新宿でも心はまだ故郷の恐山に囚われている。
寺山修司の語る親捨て親殺しの思想がしっかりと描かれ、殺しきれぬ親(過去)とまた竈を共にし飯を食い生きていく。映画とは虚構。
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