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田園に死すのnknskokiのレビュー・感想・評価

田園に死す(1974年製作の映画)
4.3
インパクトのある映像やおどろおどろしい雰囲気そして言霊がもういかにも寺山修司ワールド
勘違いされがちだけど、芸術ってのはキレイなものであってはいけないよね
これぞ芸術!
記録しておきたい引用文が思いのほか長かったのでレビューはこれだけ!
百聞は一見に如かずということで😎

「僕は色んな意味で行き詰まっていましてね。自分の子供時代を扱って書いてきたつもりの詩も、実際には子供時代を売りに出してしまったという感じになってしまった。風土でもそうなんだけど、書くと書いた分だけ失う事になる。書くつもりで対象化した途端に自分も風景もみんな厚化粧した偽者になってしまうんだ。」

「しかしそうする事によって自分の子供時代や風土から自由になるって事もあるからね。まぁ大体過ぎ去った事は虚構だと思えばいいんだよ。全部。」

「しかしそれを書かずにしまっておけば自分の核になったかもしれない。先生は原体験が現在を支えているとお考えになったことはありませんか?」

「ないね…むしろそれは首輪みたいなものだよ。人間は記憶から解放されない限り本当に自由になる事はできないんだよ。ボルヘスは言ってるじゃないか。5日前に無くした銀貨と今日見つけたその銀貨とは同じじゃないって。ましてやその銀貨が一昨日も昨日も存在し続けたと考えることなんてどうしてできるんだい?」

「僕は長い間、夢という事を考えていたんです。
例えば、夜寝て見る夢は夢の中の自分にとっては現実だった。夢の中の労働は夢の中の自分にとっては現実だったと。だから本当に夢を守ろうとすればできるだけ寝ないでいないといけないかもしれない。」
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