Sinamon

淵に立つのSinamonのレビュー・感想・評価

淵に立つ(2016年製作の映画)
4.0
穏やかに暮らしていた家庭に、謎の来訪者が現れその男を雇い、家庭にまで迎え入れる町工場経営者の家庭が壊れていく様を描いた映画です。

とても暗く、そして重く、全編に漂う不穏感で観ていて辛くなるばかりで最初から最後まで救いがない映画でした😓

殺人を犯し、服役していたという男、八坂草太郎役の浅野忠信さんの演技が素晴らしいです。
いつも白いYシャツにスラックスを履いていて丁寧な言葉使いをしているのですが、ある時豹変したような口調で利雄(古舘寛治)に詰め寄る姿に怖いと思いました。
あるシーンでは、白いつなぎを駆け出しながら脱いで行き中には真っ赤なTシャツを着ていて、ずっと自分の罪を償いながら静かに生きて行きたいと語っていた男なのに、心の中では、怒りが煮えたぎっていて無表情なのに、それが全身に表れていて恐ろしかったです。

中盤、八坂が居なくなった後もとても辛い状況の家庭を見ると辛く悲しくなりました💧

俳優さんの演技が皆さん素晴らしいです。

ラストが本当に救いがなくとても辛く罪は許されないのか淵に立つと言うタイトルの本当の意味が分かった気がしました。

見終わった後、10歳の娘・蛍(篠川桃音)ちゃんが八坂になつきオルガンを教えてくれるのですが、オルガンのメトロノームの音が私の心の中でずっと鳴り響いていました。

ラストまでひたすら張り詰めた空気を継続させていく映画を久しぶりに見た気がするので、おすすめしたいけどおすすめできないもどかしい映画です。
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