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淵に立つのTMDiaryのレビュー・感想・評価

淵に立つ(2016年製作の映画)
4.5
①役者
浅野忠信。異常な存在感。筒井真理子、太賀もなかなか狂気的でよい。いちばんまともに見えるのが古舘寛治だが、これが人として最も気持ち悪い。
②演出
浅野忠信の使い方がうますぎた。全ては八坂(浅野)が現れてから壊れ出すのだが、その八坂を強烈に脳裏に残す演出は気持ち悪いを超えて美しい。真実は何なのかははっきりとは描かず、出てくる者の心の闇をじわじわ描く。ある意味ホラーより怖く、常にドキドキしていた。
③総合
出てくる者はそれぞれ罪を犯していたが、その分罰を受けようと考えていた。だが利雄(古舘)だけは自分が犯した罪を、娘が罰を受けたと安堵し、妻は共犯だと言ってしまう人間の腐った卑怯もの。そんな彼は最後も娘を先に助けようとはせず、共犯の妻、八坂と繋がる孝司(太賀)、娘の順になってしまうように、ギリギリの選択をする場面、淵に立つときでさえ、自分の損得が優先されてしまう人間なのだ。その後どれだけ娘を蘇生してももう遅い。しかし、きっと人間は、自分も、そんなに利雄と変わらないだろう。利雄だけでなく、この映画は人間の人間らしい部分を様々な登場人物を通して映している。
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