日向日向

The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめの日向日向のレビュー・感想・評価

2.5
狂気の欠如

芸術性に富んだ表現技法を好むソフィアコッポラ監督による『白い肌の異常な夜』の完全リメイク!
と、銘打ってはいますが……はっきり言って、残念リメイクでした。

リメイクだから、脚本を踏襲するのは勿論のことです。そこに、監督独自の技法や芸術性を反映させるものです。
監督の独自性が出ていたのは、その服装の統一的な白さに、良い意味でも悪い意味でも目立つ静的な画面の暗さだけなんです。
ショットや構成などが全く酷似しているため、正直なところかなり退屈。
であるはずなのに、オリジナルには確かな役目を果たしていた黒人が消されたり、とダメな改変が目立ちました。

黒人に代わる人を据えるならいいのですが、そんな立場も消えているため、狂気が育まれていく過程が薄くなってるんですよね。また、コリン・ファレルの名演は光るのですが、まぁ、当然っちゃ当然ですが、当時のイーストウッドのような変態的な行為(少女への口吻行為など)ができないものだから、全キャラが狂った風には見えないんですよね。
せいぜい、ニコール・キッドマンくらいですよ。

あと、画面がとにかく暗い!
監督が意識しただろう純白と比較させる有効な手なのかもしれませんが、行き過ぎて映画に重要なキャラクターの表情の機微どころか、動きさえも読み取れなくなってしまいます。だからこそ、退屈を誘うんですよね。

脚本を変に改変したものだから、リメイク前はわりかし自然な流れだった亀のくだりとかが無理やりっぽくなってしまってます。
とにもかくにも……残念リメイク映画と評を下さざるを得ない、非常に酷い映画だと僕は思いました……。
日向日向

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