YukiSano

ロスト・バケーションのYukiSanoのレビュー・感想・評価

ロスト・バケーション(2016年製作の映画)
4.0
海のゼログラビティ。
鮫キャストアウェイ。
1人ジョーズ。

色んな映画記憶が蘇る鮫B級映画かと思えば哲学的示唆に富んだ隙のない脚本で見事なドラマを紡ぎだしていた。無駄がなく、伏線回収もバッチリ。

母を失い、自分の道を見失った女性が母なる海で死んで生まれ変わるまでの物語。迫り来る波は人生に立ちはだかる壁として描かれ、彼岸を渡り、生き返る事が出来るかが問いかけとなっている。

鮫は、まさに地獄の裁定者。カモメを救うことで命の重みと、自分の力を信じることが出来るようになる展開など、おとぎ話や神話のような筋立てになってる。実際に見える島々が女性に見える時点で、世界中の神話の国産み伝説を意識しているのが見てとれる。カモメは天からの使いであり、母でもある。

自らも深淵に身を投げ出した時、黄泉からの脱出に至る。

低予算映画の鏡みたいなクオリティ。

ブレイク・ライブラリーの水着も長時間堪能できるサービスを施しながらも、一人芝居も見応え十分で、本当に良く出来た映画でした。
YukiSano

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