れじみ

最後の追跡のれじみのレビュー・感想・評価

最後の追跡(2016年製作の映画)
3.7
先日発表された第89回アカデミー賞作品賞ノミニーにおいて、現時点で日本で鑑賞出来るのは(試写会等除く)本作だけ。
ただ視聴方法はNetflixのみで、劇場公開は今のところ未定。
作品賞だけでなく、助演男優賞、脚本賞などにもノミネートされている作品が劇場公開未定と言うのは何とも情けないなぁと思う。
本作だけでなく、アカデミー賞効果を狙いたいがために日本公開を遅らせているorそもそもアカデミー賞に絡むほどの作品だと思っていない配給会社には毎度の事ながら腹が立つばかり。
ただでさえ中国の台頭で日本の映画市場価値は下がり続けているのに、こんな体たらくでこの先大丈夫なのかと不安でしかない。

さて、話を作品に戻して、作品そのものは面白かった。
ただ本作は物語は非常にシンプルなものの、背景に描かれている事情はアメリカの過去から現在に続く歴史を踏襲していて、その辺の事情に疎い自分は鑑賞後に他の方の解説読むまであまり深く理解出来ていなかった。
物語の背景にある事情が理解出来ると、このシンプルな物語の中にテキサスの歴史を落とし込んだ脚本の素晴らしさが分かってくる。
昨年のマイベスト10である「ボーダーライン」の脚本も担当していたテイラー・シェリダンの手腕の高さを改めて確認出来る作品だった。

とは言えそこまで深く読み込まなくても、破天荒な兄とそれに振り回される弟、兄弟を追う定年間近のテキサスレンジャーとその相棒、彼らの動きを追っていくだけでも普通に楽しめる。
この2つのコンビの持ちつ持たれつの描写が観ていてとても心地良い。

ちょっとイキってるダメ人間をやらせたら抜群に上手いベン・フォスター、口の減らない老レンジャーを演じたジェフ・ブリッジスの演技が光ってた。

ストーリーで多くを語る映画ではなく、映像や演出、台詞で展開していく作品。

銃撃戦もなかなかリアリティがあって見応えあり。
この作品観てるとテキサスで銀行強盗をするとどういう事態に陥るのかよく分かるw
みんな銃持ってるんだもん、そりゃ無理だw
れじみ

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