最後の追跡の作品情報・感想・評価

「最後の追跡」に投稿された感想・評価

dowaiki

dowaikiの感想・評価

4.0
これだけでNetflix二ヶ月はチャラだな。
舞台はテキサスあたり、現代西部劇っていう新ジャンル?時間の流れがいいねこれ。
埃にまみれてやるべき事をやる男達の交差。悪人不在、だが死人あり。
クリスパインの髭顔面はみる価値がある。
デヴィッド・マッケンジー監督作品
「この作品をDavid John MackenzieとUrsula Sybil Mackenzieに捧げる」とクレジットが出てきますが、これは監督デヴィッドの両親で、撮影中の2015年に二人共亡くなっています。
タイトルの(come) Hell or High Waterは辞書で引くと「どんなことが起ころうと」「たとえ火の中水の中」"you are determined to do it, despite any difficulties that there might be"と出てきますが、生まれ育った牧場を守るために銀行強盗を繰り返し働く主人公兄弟の「(目標達成のために)手段を選ばない」態度、それを追う定年間際のテキサス・レンジャーが燃やす追跡への「言って憚らない(それこそ火の中水の中的な)」執念、ふたつの"Hell or High Water"が交差する物語なのかなと解釈しました。邦題は最後の追跡。韓国版タイトルはLost in Dustらしい。みんな感想でタイトルつけんのやめろ

アジア勢が感想でタイトルつける中、当初の原題、そしてスペイン版タイトルは"Comancheria"
ベン・フォスター演じる兄のターナー・ハワードが繰り返し言っていた「コマンチ族」が1860年代ごろ支配していた場所(現在のテキサス大部分やニューメキシコ付近一帯)をコマンチェリアと呼ぶそうです。作中何度もターナーはこの地を支配するコマンチ族だ、俺が支配者だ!みたいなことを口走りますが、テキサスの片田舎で悪どい銀行屋と不毛の大地に支配され続けた反動だろうなと胸を打たれますね。観客は、感想はどうあれ少なくとも一度は彼に共感し、狭量の世間に舌打ちをするのではないでしょうか。母の最期を弟から聞かされて目を潤ませるターナー。ドス黒い葛藤を抱えながらも兄として弟を守ろうとする男を見事に演じるベン・フォスター、圧巻です。
ちなみに兄ターナーを演じるベン・フォスターと弟トビーを演じるクリス・パインはザ・ブリザード(The finest hour)以来2度目の共演ですが、実は2人は同い年で、なんならクリス・パインの方が2ヶ月年上です。クリス・パインの圧倒的弟感と人生に疲れてるっぷりにときめく女性は多いのでは(作中でもめちゃくちゃ口説かれてたけど…)
クリス・パインで言うと、最初のシーンで登場してきた時髭面と髪型でクリス・ヘムズワースに似すぎやろ…!ってなった。ヘズムズワースとパインはスター・トレックで親子を演じてましたけど、白人顔面認識能力が低すぎてハリウッド4大クリス(プラット、ヘムズワース、パイン、エヴァンス)は全員同じ顔に見えるんですよね(…)
何の話だっけ
映画だ
銀行強盗を繰り返し犯行に使った車を埋めカジノで資金洗浄を行いながらルート66を逃走する兄弟と、それを追いかける定年間際のテキサス・レンジャー、マーカス・ハミルトン(ジェフ・ブリッジス)とその相棒アルベルト(ギル・バーミンガム)。マーカス役のジェフ・ブリッジスはアイアンマンのオバディア・ステインですね。典型的な意地悪白人おじさんの顔で好きです。
アルベルトはインディアンとメキシコ人の血を引いており、作中何度もそれをネタにマーカスにいじられます。ギル・バーミンガムは実際にコマンチ族の血を引いていて、ローン・レンジャーでもインディアンの役してましたね。
強烈なのは最初の現場調査を終えて2人で車に乗って次の現場に向かうシーン。定年退職後の展望を語る2人。定年の前に強盗と撃ち合いになって殉職を遂げるかもな、と笑い飛ばすマーカスに、アルベルトはそれに貴方の腕前じゃ名誉にならないですけどねと皮肉を返しますが、それに対してのマーカスの言葉。
日本語字幕だと「俺は運がいい。相棒のお前が敵を取る」となっていて、その瞬間不機嫌そうに沈黙したアルベルトが不自然でちょっと残念です。
"Well, I’m lucky I got a half-breed by my side to avenge me ..."
half-breedは混血児ですが主にインディアンと白人の混血を指しており、はちゃめちゃに失礼な上にその後
"If you can stay sober enough to do it, knowing how you injuns like the bottle."
「酒さえ飲まなけりゃな。先住民は酒好きだ」
と続けます。これも字幕が何故か配慮されてますがInjunもインディアンを軽蔑的に呼ぶ(こともある)名称なので、どこまで失礼なんだこのオッサンはという感じ。
この調子で反省もせずアルベルトにマイペースにウザ絡みし続けるからこそ、終盤のあのシーン、これまでのキャラクターをくつがえすぐらいオロオロと慌てふためき感情をむき出しにする姿に涙腺崩壊です。

マーカスとアルベルトのやりとりも可愛いのですが、もっと可愛いのがハワード兄弟。いちいちやり取りがお前ら仲良いな!ってなって可愛いんですが特に好きなのはガソリンスタンドでのやりとり。ドクター・ペッパーとタバコ買ってきてくれ!とトビーをパシらせるお兄ちゃんが既にイイんですが、隣に車ベタ付けしてきたDQNに絡まれて「お前じゃ相手になんねえ」と挑発した挙句戻ってきた弟がそいつをタコ殴りにしてるの見てただけなのにボコボコのやDQNに「言ったろ?!(I told you?!)」ってやってるお兄ちゃん(クズ…)そしてその後のこの会話。
"Are you trying to make me mad? I said Dr. Pepper, this is Mr. Pibb."
「おい(怒らせる気か?)ミスターピブってなんだよ(ドクターペッパーって言ったろ)」
"That's all they had."
「それしかなかった」
"Only assholes drink Mr. Pibb."
「アホしか飲まない」
"Drink up."
「お似合いだ」
ミスターピブってドクターペッパーのライバルみたいな飲み物なんですが、Wikipediaによると「主に地域のコカ・コーラボトラーズがドクターペッパーを扱っていない地域(アメリカ合衆国南部、カンザス州と太平洋岸北西部の一部など)でのみ流通している」ということなので「これしかなかったんだよ」っていうのはやっぱりこれも舞台であるテキサスの田舎町をイメージさせる憎い演出ですよね。(日本人的にはどっちもアホしか飲まないとおもう)

作品通して憎い演出が多くて、完成度の高い作品なのですが、ひとつだけ文句をつけるとすると(作品とはあんまり関係がないんだけど)ちょっと字幕が微妙だなと思いました(私はね!)このレビューではちょっと日本語訳を補完したりしていますが、文字数とか〆切とかそういう難しい制約がたくさんあるのはもちろん分かるんだけど、ちょっとニュアンスとして伝わらないのでは、と思うシーンがちょいちょいありました。
とはいえベン・フォスターとクリス・パインの熱演と仲の良さは必見!日本では劇場未公開でNetflixオリジナルとしてインターネット配信でのみの公開となりましたが、劇場で見てみたかったなあ。

クリス・パイン大好きです度 ★★★★★
意地悪な白人おじさんキャラも好き度 ★★★★★
でもトビーの嫁もうちょっと優しくしてあげて ★★★
rinky

rinkyの感想・評価

5.0
加害者であり被害者。被害者であり加害者。一生背負い続けるもの。背負い続けなきゃいけないもの。
てぃだ

てぃだの感想・評価

3.4
 とうとう手を出しちまいましたよNetflix。このサイトの皆さんがあまりにも「ここで見たー」って自慢なさるもんだから、んもう。ただあたし基本的にドラマは見ないのでこのまま加入するかどうかはもうちっと後で考えることにして今は体験楽しみます。ストーリーは、「今のアメリカの姿」を反映したものだとは何となく分かるんだけど、思ったよりはしっくり来なかったものの、キャラがとにかくいい。追う側も二人、追われる側も二人。この二人の関係性がいい。お互いに憎まれ口や冗談をたたきあったり、喧嘩みたいな軽妙な会話ややりとりを見せながら、ちゃんとお互いを信頼してるのがよく分かる。特にそれまで軽いノリで余裕たっぷりだったブリッジス爺が相棒を殺された瞬間の変わりようにはちょっと「こっちが殺される!」(なわけないが)っとドキッとしたほど。
ひかる

ひかるの感想・評価

4.5
現代版の西部劇だそう。
銀行強盗の金で銀行のローンを返済、これがカウボーイのやり方ってカッコいい。
ただの娯楽映画でなくアメリカの抱える問題を垣間見れたのが良かった。
Katongyou

Katongyouの感想・評価

3.8
鈍く喋り鈍く動くジェフ保安官が鈍くてかっこいいんだな、これが。なかなか渋い映画だったよ。兄弟の兄ちゃんがも少し強面キャラだったほうが良かったような気がするが。
Netflix作品。
テキサスの街の雰囲気、大自然、人々の生活、荒々しさを体感できる。
淡々と進んで行く感じが、飽きそうだったが、ダメ兄貴の兄弟愛やレンジャーの振る舞いが胸に残り、哀愁がある。
〝何をしても終わらない。一生背負っていくのさ、お前も俺も〟

クリスパイン×ジェフブリッジス×ベンフォスター共演のクライムもの。
脚本は「ボーダーライン」のテイラーシェリフ。第89回アカデミー賞で作品賞、助演男優賞、脚本賞、編集賞でノミネート。


不況にあえぐテキサスの田舎町。タナーとトビーのハワード兄弟は、亡き両親が遺した牧場を差し押さえから守るため、連続銀行強盗に手を染める。慎重派のハワードが練った完璧な計画のおかげで兄弟は次々と襲撃を成功させていくが、刑務所から出所したばかりのタナーの無謀な行動のせいで次第に追い詰められていく。一方、定年を目前にしたテキサス・レンジャーのマーカスは、相棒のアルバートとともに事件の捜査に乗り出すが……。





とにかく渋い!!
テキサスを舞台にした現代版西部劇でしょうか !
銀行強盗を続ける兄弟とそれを追う老保安官の追走劇を描いています

テキサスの風景やはりすごいですね!
画面の迫力!!
荒野の雰囲気すげー!笑



あと、テキサス人がやたら好戦的だったのも印象的でした。
保安官の「不審な人物がいたら連絡を」に対して
テキサスの一般人「不審な奴がいれば俺が仕留めておきますよ」
こぇぇよテキサス人!!

この後ネットでテキサス 銃で検索したら
街中でみんな銃持ってる写真がゴロゴロ出てきてテキサス恐ろしやってなりました
全米ライフル協会の闇ってやつですかね〜



途中出てきたTボーンステーキゴリ押しテキサスババアも怖かった





また
劇中で説明がありましたがテキサスは白人がインディアンを追い出して奪い取った土地。
ところが現代ではテキサスを手に入れた白人が銀行に追い出されようとしています。
追い込まれた貧困層が犯罪に走り、負の連鎖を生む...

テキサス始めアメリカ南部はトランプ大統領支持のイメージが強いです
なぜ支持されたのかがこの映画で描かれているのはなかなかぐさりときました


そして
ベンフォスター演じる兄が「転がり始めたら止める手はない」と語るのに対して、
弟クリスパインが「ここで断ち切る」と心に決めていたのも印象的でしたね!
彼らの銀行強盗が誰のためだったのか
そして監督自身がこの映画を誰に捧げていたのか、
終わった後ジーンとしてしまいました









あと、
俳優陣の演技は本当に見応えありました!
ジェフブリッジスは相変わらずこういう偏屈ジジイ役が似合いますね!笑
相棒とのやりとりも愛を感じる(´▽`)
全体の雰囲気的もそうですが、引退間近の老保安官が事件を追うというのは「ノーカントリー」を連想しました


そして、兄弟を演じたマークフォスター(兄)クリスパイン(弟)!
どちらも最高か!!
マークフォスターは「3時10分決断の時」のキレものガンマンの演技が個人的に1番好きだったのですが、
今作の何するかわからない破天荒な感じもかっこよかったですね!
〝草原の支配者、それが俺だ〟ヨッ!かっこいい!


あとクリスパイン!
あんた最高だよ!!
今までスタートレックやBlack&Whiteなどでチャラいイメージしかありませんでしたが、今作では渋い哀愁漂う演技は見入ってしまいました!
うつむいた時のあの渋い佇まいかっこいい!



以上、「最後の追跡」!
これが今のところ日本ではNetflixでの配信だけとかもったいなさすぎる!
かなりオススメです!
家族が残した牧場が母親の借金のため差し押さえになったことから銀行強盗を繰り返す兄弟と、それを追うテキサスレンジャーを描いたクライムサスペンス。

強盗を繰り返す兄弟をベン・フォスターとクリス・パインが演じ、刑務所上がりで無謀な行動を取る兄と計画通りに進めようとする弟のアンバランスさが面白く、定年間際のテキサスレンジャーにジェフ・ブリッジス。インディアン系の相棒に毒舌を吐きながらも冷静に犯人を追いつめていく感じが絶妙。

不況で苦しむテキサスの寂れた感じ。

その中で不器用ながらも懸命に生きようとする者たちの物語が西部劇の様に描かれています。
切羽詰まって衝動的にというより悩みに悩んで犯行という感じの弟と反射神経で行動に出そうな兄、対照的な兄弟が強盗を。それを追う刑事がまた良くて。ジェフブリッジスはこういう役ホント似合うなぁ。不況にあえぐ町で繰り広げられる良質クライムドラマ、兄弟の行く末見ててしんどい。
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