SF作品としては最高傑作級の出来栄え。私の好きな、観たかったSF。科学技術の発展の先にある、人間の定義とは何か？人間の在り方とはどうあるべきか？という問いかけに対して真摯に向き合っている姿勢は評価に値する。
SF的なガジェットや設定は作り込まれているし、前作に対するリスペクトどころか、前作で提示された問い掛けに対して一つのアンサーがキチンと提示されているので、その点はとても好感を覚える。
また、原作の要素を活かしているという点においても、前作を凌駕している印象を受けたし、作品の解釈に幅を持たせる造りをしているのもとても良かった。
ただ、1本の映画として観た場合に、その完成度という点において不満点が出てくるのが非常に惜しくて残念。
個人的にはめちゃくちゃ好きなツボを突かれているので、途中まで観ていて、「2049最高！やったなヴィルヌーヴ！」と叫びたかったけれど、後半に行くに連れてトーンダウン…。
構成に問題があり、展開にもどかしさを感じる。これはヴィルヌーヴの生真面目さに拠っているようで、過剰に丁寧過ぎることに起因していると思う。結果的に尺が伸び、間延びしている印象。
前作からのネタも含め、伏線を回収していく過程が長いので、くどく感じてしまう。肝心要のデッカード登場があまりにも遅いし、ようやく出てきてもKとデッカードの絡みが薄く、その点もマイナスに働いてしまう。
主観的に言えば好きな作品に分類される（スコアも高めにしてしまう）けれど、客観的に見れば色々とマイナス点が見えてしまう、そんな作品だ。
1回目：ジャパンプレミア試写会 TCX/DOLBY ATMOS
2回目：10/27 T・ジョイPRINCE品川 IMAX3D
3回目：11/17 TOHOシネマズ新宿 IMAX2D
