物語の芯は"人"であること。
"暴力と欲望の成れの果てのような街"
で生への執着を見せる人間やレプリカントの
"痛み" "儚さ" "悲しさ" "切なさ" そして、"微かな希望"
これらは異なった角度ではあったがドゥニヴィルヌーヴ風に継承、徹底されている。ブレードランナー2049は私好みなものに変容し、私の心を打ちのめした。
改めて思うのが美術班と映像技術の凄さ。
建物、オブジェ、ガジェットは言うまでもなくカッコいいし、素晴らしい。
リドスコ版だと油のように降り注ぐ雨は退廃的な世界の表現方法としては、
やや汚らしさを感じるものだった。
ただ、ドゥニヴィルヌーヴはそうではない。火や雪といった様々な引き出しがあって、成れの果ての世界であっても、美しさ=微かな希望を感じる。
リドリースコットとドゥニヴィルヌーヴを分かつ代表的なシーンは
Tears in the Rainのシーンだ。
ドゥニヴィルヌーヴのシーンは美しい。
ストーリーのプロットとアクションは改善されていると思う。
前作だと、お世辞にもアクションは良質とは思わない。
さらには、プロットは漠然としており、少々退屈気味だった。
本作のアクションでいえば、爆発、殴り合いと様々な見所がある。ただ、そこに美術、音楽等一つ一つの要素に魅力が詰まっていて、極上なものに仕上がっている。
特に素晴らしいのは終盤のSea Wallのシーン。
ジョイからメッセージを受け取って、覚悟を決めるKのカットから音楽が始まり、戦いに繋がっていく、あの切れ目のなさが凄い。
最後に、、
音楽もヴァンゲリスとハンスジマーでは
各々の良さがあって異なるものだった。
でも、やっぱりブレードランナーといえば、Tears in the Rainだよね。