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ブレードランナー 2049のマのレビュー・感想・評価

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
4.2
ウォレス社での尋問シーン、レプリカントの実験、荒廃したオレンジのラスベガス、、、オープニングタイトルの文字の扱いからエンディングまで、かっこいいビジュアルを挙げていったらきりがない。前作との違いはどこか枯れた雰囲気の昼のシーンが印象的なところか。水の扱いや、サッパーモートンの家近くの白っちゃけた色合いなど、画面の質感においてタルコフスキー作品やアンゲロプロス作品からの影響はかなりあるんじゃないか。上手く言えないけどヨーロッパっぽい画面が、今やられると斬新でかっこよかった。上映時間を2時間40分までにしてしまっためちゃくちゃゆったりとした演出も、「タメ」とか雰囲気作りだけではない何か別の文脈の美意識がそうさせてるんじゃないかという気がした。情報量は確かに多いけど、明らかにそれによって長くなっているわけではなくて、何らかの効果を求めてあえて長くしている。

前作からよりスケールが大きくなっていって、でも「大きな物語」が盛り上がれば盛り上がるほどそこからひっそりと隠れるように、個人の話になっていく。とにかくゴズリング演じる「K」の純粋さにグッときた。虚無を抱えた存在がそこから抜け出そうとする、とても普遍的な物語だと思った。

文句があるとしたら、各エピソードの見せ方の流れが単調というか散漫というか何というか、あんまり上手くいってないのかも。でも正直もう一回くらい観ないと分からない。前作と同じようにこれも「ソフト買って何回も見直せ!」と言われてる気がするくらい見応えがあった。
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