shinobu

ブレードランナー 2049のshinobuのレビュー・感想・評価

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
4.0
もう2週間くらい前に観たけど中々感想書けないで今日に至ります。
結論から言うと好きな映画です。

ハリウッド大作映画的ないわゆる盛り上がりには欠けるとは思います。そのシーンいる?とか、え?そんな素直にKがあの命令に従ったって信じちゃうの?とか文句もあります。
ただ、前作同様切ない物語として好きですね。

まず観終わった後に「Her / 世界でひとつの彼女」と「A.I.」…つまりピノキオを思い出しました。

前作ブレードランナーは主人公があまりにも魅力がなさすぎて感情移入出来ない問題がありましたね。

いつものやる気のない演技のハリソン・フォードだし、女のレプリカントを背後から射殺する主人公って…インディー・ジョーンズでも決闘を申し出た敵を射殺するギャグ!がありましたが。
でも最後にロイ・バッティに生きる事は何か?痛みや恐怖から無感情になるんじゃなくて痛みや恐怖があるから生きてるって実感があるんだと教わる。
そして、レイチェルが残り少ない命であろうと(心に痛みや恐怖が残るとしても)共に生きる事を選択したデッカード。この決断はドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「メッセージ」を彷彿させる人もいるでしょう。

で、今作は思いっきり前作を踏まえたちょい分かりやすいバージョンにはなっているかなぁと。
主人公Kはレプリカントだけどデッカードよりは感情移入しやすいしね。

しかしレプリカントが妊娠出来るようになるなんてもう人間と変わらんやん。そう、人間と変わらない。
本作のレプリカントは人間のやりたくない仕事をやらされるだけの存在だ。
レプリカントを殺したり客引きしたり。人間との違いは魂があるかないかだけとされてる。これに囚人や奴隷や差別された人達を重ねる事も出来るだろう。そういえばブレードランナーでもすでにレプリカントのレイチェルは涙を流してるから感情だってある。

本作でも最も切ないシーンの一つが3Dホログラムのジョイちゃんが降りしきる雨の中、外に出るシーンだ。
当然ジョイちゃんは濡れる事は出来ない。雨の中の涙どころか触れる事も出来ない。涙、雨、雪…濡れる事はブレードランナーでは重要な意味を持つ。
「ショーシャンクの空に」の雨のシーンを思い出し、ちょっと泣きそうになった。

謎が謎を呼んだブレードランナーに答えを出したような本作にカルト的な人気は出ないだろう。
でも映画館で観れて良かったなと思う。

ユニコーンから羊に変わったのは原作が電気羊だからかな?とか、解説を読んだり聞いたりしたら発見したとこあるけどボクの感想はここまで。まだ劇場で公開されてるみたいだからぜひぜひ。

追記

街中にパンナムとか倒産した会社の看板あったから未来の設定ではなくて、あくまでもブレードランナーの世界の未来って世界になっているみたい。続編としては正しいね。
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