あおい

ブレードランナー 2049のあおいのレビュー・感想・評価

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
5.0
製作陣が構想した究極の理想に限りなく近かった作品かなと思う。まず、企業ロゴのオープニングからエンドクレジットまで美術演出がかっこよすぎ、完璧。世界観の構築、一切エフェクトに見えないCGの向上もさることながら、2049年の未来の現実なのか、SFの世界なのか惑わされるような世界観の構築が素晴らしかった。AIが実体化する場面なんかはその象徴であったように感じる。あのシーンは鳥肌が立った。
"メッセージ"の時にも流れていた(似ているような)あのざわざわ感のある音楽、音響は素晴らしかった。従来の大作で使われていた、場面を盛り上げたり緊張感などを演出するクラシックな音楽から技術的に時代的に新たな一ページを開いたかなと思わせた。
ストーリーなんかもう劇場で拍手してしまいそうになった。
SFを舞台にした父を訪ねて三千里な物語なのかと思っていたら、一転させられた。それは線上の一転ではなく(ジェットコースター的に物語が一転した訳でなく)、有機的に動き全体に広がっていったような感覚。
一転させることで、単純に物語展開の意外性や驚きはもちろんの事であるが、この作品のSF要素を一気に高め、また今まで長々と見てきた人々の関係性や物語全てが出汁になり、ブレードランナーの苦悩や切なさを表していた。全シーンが僕の頭の中を走馬灯のように一気に駆け巡り、ラストの雪の積もった階段で疲れ果てて寝るシーンで完全投射して僕も泣いてしまった。
上手い!器用!本当に鳥肌ものでした。
あおい

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