ティミー

ブレードランナー 2049のティミーのネタバレレビュー・内容・結末

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

後追いレビュー

2回目の観賞でIMAX,3Dで
何故またIMAXかというと、ハンスジマーらのスコアや音響に重低音が多々含まれていて、それを体感したかったのと、美しい映像美を出来る限り視覚で堪能したかったから。あとは、いつも通りで単純にIMAXが好きだからw

実は1度観たときは感動はそれほどでもなかったんです。
が、やはりもう一度観てどうなのか?を確かめたかったんですね。
結論、もう一度観て良かった。そしてこの作品は感銘すら覚える傑作だと感じましたね。
ドゥニヴィルヌーヴ監督とリドリースコットのタッグ、そしてハンプトンファンチャーの脚本。
ドゥニ監督の、リドリーの作った前作に敬意を払いながらオマージュさせているところが、前作のファンとしては本当に嬉しいし感謝したい!

冒頭はエイリアントコヴェナントの始まりと同じく、瞳のアップからスタートするんですね。これはアンドロイドとレプリカントがこの先、繋がってゆくことを示唆しているんでしょうね。
そして、人間はレプリカントという神以外に許されない創造をしてしまった。
そして、プロメテウスで、創造主を探しに行く人間の起源を探りエイリアンを誕生させてしまう。
人間の愚かさも壮大に描いている気がします。

さて、2049の次なる場面。
太陽光発電所だろうと思われるカリフォルニア上空をスピナーが走りさるのですが、ブラックアウト前の火の上がる前作の冒頭でもスピナーが走りさる場面を踏襲したんでしょうね。
前作では雨の降りしきる映像でしたが、2049では、嵐の前の雨のない場面もあり、やがて雨は雪に変わる。
アナデマルナス演じるジョイが、外にでることが可能となり雨粒を手で感じる。そしてライアンゴズリング扮するKは雪の感触を手で感じとる。
人間ではない二人が行う行為は、人間の五感を感ずることの出来ることに対する皮肉でもあるのかもしれません。

そして、本作では、ネオン色と荒涼としたオレンジの2色を軸にしてるんですね。
その対比が実に素晴らしい❗
また、Kが蜜蜂を手にするシーン。これは他の方のレビューを拝見してハッ!としたんですが、前作のある場面で蜂に関するレイチェルの発言があり、それを繋げているのではないかとのレビューでした。

もう、随所に前作のシーンを素晴らしく絡ませているところがジーンときます。
まだまだそういう場面は沢山あるんですが、一番感銘したのは、ラスト近くでKが降りしきる雪のなかで静かに目を閉じていくシーン。
前作のラストで、ルトガハウアーが演じたロイが降りしきる雨の中で寿命を全うし静かに機能を停止するシーンと重なってしまい、ていうか音楽からして重ねているんだと思いますが、最新型レプリカントは人間に従順になるよう設計されていて、Kもそのレプリカントであり、最後の従順な任務を全うし静かに目を閉じていく。
Kの存在探しの旅はここで一旦終焉を向かえる…
ここは自然と涙が溢れ出てしまいました。

そうそう、もう1つはシルヴィアフークス演じるラブ。この人の怪演なしには成り立たない作品でもありました。Kを探しにLAPDのマダムと対峙する場面のあるセリフを発する時の迫力は素晴らしかった。ラブも従順なレプリカントなんですね…

人間がどこまでも人間に近いものを創造する。これは自然社会では生態系を全く無視した人間の傲りであり、愚かさであるんでしょう。それを前作も本作も語っている気がしました。
ティミー

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