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カフェ・ソサエティのこーたのレビュー・感想・評価

カフェ・ソサエティ(2016年製作の映画)
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なんでもない瞬間に、ふっと笑みがこぼれる。
シーンのあいだに挿まれる「間」が、なぜか可笑しい。
人生の隙間を埋めるのに、ぴったりの映画だ。

舞台は古き良き時代のハリウッド。そしてニューヨーク。
映画人に財界人、政治家、共産主義者、ユダヤ人、そしてギャングが、ごちゃごちゃと登場する。
この映画自体が、社交界(カフェ・ソサエティ)そのものといった趣きで、それはまるで、大人のおもちゃ箱のよう。
箱を開ければそこには夢が、ふんだんにつまっている。

ひとはときに大きな決断を迫られ、自分でも理解できない選択をする。
その選択が正しいかどうかなんて、その瞬間にはわからない。ずっとあとになっても、わからないままかもしれない。
選ばなかったほうは、夢だ。
ときおり想いかえしては、ひとときの夢を見る。
見た夢を振り返り、やはりあれは夢だったのだと自覚することで、自分が選んだ道は正しかったのだと、確認できる。

人生は喜劇だ。
ひとが重大な岐路にたたされて迷い、道をえらびとっていく瞬間は、おかしみにみちあふれている。
おかしいからこそ、いとおしい。

恋とは人生における最大の謎で、謎だからこそ夢がある。
手に入れてしまったら、それは現実だ。
夢のような時間は、どこへともなく消え去ってしまう。
夢は夢のままでいい。
それくらいが、ちょうどいい。

映画にわたしは夢を見る。
その夢が、わたしの歩んできた道をくっきりと浮かびあがらせる。
浮かびあがったその光が、いく先の未来を明るく照らす。
この道はまちがっていない。まだだいじょうぶだ。
映画は夢で、夢は希望だ!