イチロヲ

残酷異常虐待物語 元禄女系図のイチロヲのレビュー・感想・評価

4.5
江戸時代の愛憎劇をオムニバス形式で綴っていく作品。東映異常性愛路線の第4弾。脚本家・掛札昌裕が、石井作品に初参加している。

第1話
吉原の遊女(橘ますみ)が、意中の男を追って廓を抜け出す。橘ますみに嫉妬して喧嘩を売る花魁(カルーセル麻紀)と、お大尽遊びに興じる上田吉二郎が抱腹絶倒。婀娜っぽい橘ますみは本指名必至。

第2話
越後屋の娘(葵三津子)が、過去のトラウマにより猟奇性愛に苛まれてしまう。フリークスに犯される葵三津子の迫真の演技。見てはいけないものを指の隙間から見ているような感覚を覚える。

第3話
サディスティックな藩主(小池朝雄)が、自身の妾に異常性愛を強いてしまう。全身金粉まみれになる賀川雪絵の体当たり演技が泣けてくる。吉田輝雄が赤子を取り上げる、壮絶なクライマックスに卒倒。

日本映画界が震撼していた時分の、リベラルかつアナーキーな作風を十分に堪能することができる逸品。石井輝男は裏切らない。
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