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午後8時の訪問者のleylaのレビュー・感想・評価

午後8時の訪問者(2016年製作の映画)
3.8
犯人捜しするのが真の目的ではないので、サスペンスとして観ると物足りないし、ダルデンヌ監督ならではのヒリヒリする心理描写も少ない。でも私は普通に面白かった。

なんて責任感の強い主人公だろう。
診療所に勤める女医が診療時間を過ぎて鳴った玄関のブザーを無視したために、起こってしまった殺人事件。

その罪悪感から、殺された女性の名前を調べるために奔走する。殺されたのが黒人であることにもメッセージ性があるのかもしれない。

研修医や患者、患者の父など、少しずついろんな人物が絡んでいく中で、誰もが秘密を抱えていたり、主人公を含めどの人にもエゴが垣間見えるのがとても面白い。

“人間なんてみんな弱いんだよ、大丈夫”って黒人女性と主人公のハグが語っているようで心温まる。

知らず知らず上から目線だった主人公が、研修医の実家を訪ねて思いやったり、大きな病院勤めを断って小さな診療所に残ったり、この事件があったからこそ人として成長したのだと思わせる。
ダルデンヌ監督にしては優しいストーリーでした。

主役はアデル・エネル。セリーヌ・シアマ監督作品でお馴染みの女優さん。
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