Omizu

BU・SUのOmizuのレビュー・感想・評価

BU・SU(1987年製作の映画)
3.8
【1987年キネマ旬報日本映画ベストテン 第8位】
CMクリエイターとして活躍していた市川準監督のデビュー作。主演の富田靖子、共演の高嶋政宏は高く評価され、この年の新人賞を総ナメにした。キネマ旬報日本映画ベストテンでは第8位に選出、読者投票では第2位に輝いた。

市川準監督、すごく好きだ。とにかくセンスがいい。長編デビュー作ならではのフレッシュさもありつつ、『つぐみ』などに繋がる少女の惑いを繊細に表現した演出手腕は見事なもの。

ここでの「ブス」は外見ではなく「内面ブス」のこと。捻くれた暗い少女の心の動きを見事に捉えている。八百屋お七を通して情念が静かに燃え上がっていく。それを視覚的に表した終盤に圧倒される。

映像センスが素晴らしく、どこを切り取っても画になる。派手な話では一切ない、かなり地味な話であるのにも関わらず、それを感じさせずに惹きつけられるというのは凄いことだ。

とにかく繊細でセンスがいい。市川準監督のデビュー作とは思えない表現力が炸裂している。個人的な市川準監督ベストは『つぐみ』で変わらないが、本作も非常に好きな作品になった。
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