ミサホ

わたしは、ダニエル・ブレイクのミサホのレビュー・感想・評価

3.8
ケン・ローチの作品を久しぶりに観たなあ。昔、イギリス🇬🇧映画に夢中になっていた頃、このケン・ローチとマイケル・ウィンターボトムをひたすら追いかけてたな。


さて本作。
主人公のダニエル・ブレイクは、心臓病で働きたくても働けない。ドクターストップがかかってる。でも、食べなくてはいけないし、色々とお金が必要だ。

ダニエルは国の制度に頼るしかないのだけど、そこに行きつくまでに、二重三重の申請やら手続きが必要だ。

さらにデジタル化の壁が。

オンラインでの入力項目に不足があった時の“ドゥン!”てなるやつ…腹立つし、ええ〜っ、どこ?てなるよね。しかも「あほ」言われてるみたいで屈辱的。

パソコン初心者のダニエルもその憂き目に遭う。右クリック、ドラグ、スクロールすら初めての人には、ほんとサバイバル。

イギリスってそんなに冷たい国なの?
融通ききそうに思うのだけど、役所はどこも一緒か。ガバガバも嫌だけど、ガチガチも度が過ぎるとしんどいね。

そんな社会の構図に容赦なく跳ね返されるダニエル。自身の不遇とは関係なく、困っている人をほっとけない。普通、自分のことがうまくいかないと、他人に冷たく…というか構ってられないのだけど、ダニエルは違うんだ。

氷のような、そして重い鉄のような扉で弱者を拒む社会とは反対に、あったかい血の通った、美しい人間の姿がそこにあった。
ミサホ

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