わだげんた

わたしは、ダニエル・ブレイクのわだげんたのレビュー・感想・評価

2.8
これは誰に感情移入すればいいんでしょう。。。

なんか観終わってモヤモヤしてます。

今日スポーツ新聞読んでたら、『健康で文化的な最低限度の生活』ってコミックがドラマ化するって記事が出てて。生活保護がテーマの作品。
こういう題材の作品がゴールデンでドラマ化されるってことは生活保護制度とかはある程度みんなの関心のある題材なんでしょう。
マンガはこの映画とは逆の視点。つまりお役所側から生活保護者をみたら、ってマンガなのです。
このマンガを読んでたお陰で、この映画とは逆側の視点を持って観られました。

この視点があったおかげでモヤモヤが生まれたのも確かなんですが。。。

この映画は保護を受ける側からの視点。役所の人が悪者に描かれています。

普通はダニエル・ブレイクに感情移入して観るのが正しい(?)この作品の見方なのかな。

でもなんか無条件でダニエル・ブレイクに感情移入できなかった。そりゃ、役所の態度もひどいもんだけど、ダニエル・ブレイクの態度もそれに劣らず酷くて。親切な人もいるのに、その人にも悪態ついて。。。うーん。

役所の人からみれば、ダニエル・ブレイクは¨困った人¨なんだろな。

ただ、役所の電話窓口1時間半ぐらい待たされたり、書類出すのにネットしか対応してないとかは、そりゃないよな、と思いましたが。

俺ね、金銭面はともかく、普通に生きるならば、なんか、ダニエル・ブレイクはそんなにひどい環境で生きてたのかな、と思ったんですよ。面白そうな隣人がいて、ふとしたことから知り合ったシングルマザーと子供二人ともうまくやってて。少ないながらも役所の人にも味方がいて、その上大工という職業柄手に職を持っている。

仕事もないかと思えば、履歴書置いてきた場所から面接の打診きたりするし。病気で働くのがきついのはわかるけど、面接ぐらい行けばいいじゃん! 勤務時間相談するとかできるかも知れないし。。。
とか。

ってか、就職活動しなきゃ給付金受け取れないから一応履歴書配りまくってる、って設定なのに仕事ありそうな場所をわざわざ探して履歴書置いてくるって、なんか矛盾してない?
就職活動のアリバイのためなら、その辺の店に適当に置いてくればいいじゃんって思ったり。
履歴書置かれた方もせっかく就職前向きに考えたのに『面接来て』って言ったら、『いや、行く気ない』って言われたら、そりゃ怒るわ。

終始イライラしながら観ちゃいました。
なんかケン・ローチ監督の個人の感情的な作品見せられた気がして。

役所側か、支給者側かどちらか一方に寄せて描くとこういう作品になるんでしょうね。

福祉って描くの大変なんだろうな、って思います。困ってるっていってる人に(中には嘘ついてる人もいるでしょう)、たいして調べもせずにバンバンお金支給しちゃったら国もすぐに破綻しちゃうだろうし、それでも本当に困ってる人はすぐにでも助けて欲しいし。。。

日本でもこの映画のようなこと起きてるんでしょう。確かに理不尽に支給されるはずのお金が支給されない、なんて例もあるのかもしれない。それを考えるとなんかとても辛い作品でした。

この映画の救いはダニエルブレイクの隣の部屋の二人組。なんか悪そうな感じだけど、終始どんよりした空気の作品の中で、彼らの明るさ貴重でした。スニーカー、いっぱい売れるといいね!
わだげんた

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