サウナー

わたしは、ダニエル・ブレイクのサウナーのレビュー・感想・評価

4.7
生き方を考えさせられる。

主人公のダニエル・ブレイクは妻に先立たれ、身寄りもなく、心臓病でドクターストップを受けて大工の職を失ってしまう。真面目にまっとうに生きてきたのに、そんなこともまぁ起こりえる。

仕方なく国の福祉センターで給付申請をするも、複雑で意味不明なたらい回しに合い途方に暮れる。
序盤は結構コミカルな感じに描かれており、ちょっと笑いながら見れたが徐々に笑ってられなくなる。
福祉センターで出会った2人の子供を持つシングルマザーと出会い、貧困に苦しむ彼女たちに手を差し伸べるダニエル・ブレイク。
福祉センターの無理難題に答えるがそれでも福祉センターからは「あなたは就労可能」の判定!!!!???

ここで描かれるは社会的弱者保護や、資本主義の管理システム批判には収まらない。イギリスについて少し調べてみると、2010年に首相になったデービッド・キャメロン首相の財政赤字削減で真っ先に福祉予算が大きく削られた。なんと政府の労働能力評価(WCA)によると片手に指1本ついてれば「就労可能」(電話取れるだろ)、頭蓋骨半分でも「就労可能」(もう意味わからん)である。弱者の切り捨て。
こんな状態で働く現場職員たちも被害者である。本当は弱っている人に寄り添いたいのに国の制度が許さない。そんな事したら即座にマネージャーに呼び出される。。
彼らも好きで弱者に鞭を打っているわけではないのだ。。
苦しい。

世界にくらべればまだまだ国民に優しい日本だけど、これからどうなるかなんて分からない。財政破綻が起きるかもしれないし、他国に侵略されないとも言えない。
そんなあり得なくない未来を想像し、何を感じ行動するか?と投げかけてくれる映画だった。
サウナー

サウナー