ムンジウは主人公を常に画面の左側に置くことによって、ある正しさ(right)とは逆側にいることを示したかったというが、所詮はその程度の思想である。
あるショットに対する責任を放棄したことによって、素晴らしい主人公を演じた俳優(アドリアン・ティティニエ)に脚光が浴びなかったということの責任を、ムンジウは自覚せねばならない。
とりわけ物語の後半部分で、二人の人物を同じような画面構成で淡々と映すことの暴力が、ワンカットのカタルシスを遠ざけている。
冒頭あたりがこのフィルムのクライマックスであったのかもしれない。