AYAKA

お嬢さんのAYAKAのレビュー・感想・評価

お嬢さん(2016年製作の映画)
4.1
①ストーリー・脚本・設定 8
②キャラクターの魅力 8
③メッセージ性・印象度 8
④構図・画・芸術性 10
⑤音楽 7
(①+②+③+④+⑤÷5)÷2

すごい映画を観てしまった……

「荊の城」を日本統治時代の朝鮮を舞台に翻案して、日本野郎への皮肉をたっぷり盛り込んだ上で原作への愛が溢れててかつはちゃめちゃに面白いと知人におすすめされての鑑賞だったけど、まさに推薦通り、いやそれ以上だった。

まず、R15だと思って見始めたらがっつりR18で過激なシーンと放送禁止用語の応酬すぎて驚いたが、とにかく終始お耽美。夢野久作や谷崎潤一郎、江戸川乱歩に近い世界観。背徳的で官能的で幻惑的。

韓国映画の画作りの上手さ何なの…。
和洋折衷建築、大正時代風の衣装、小道具、中途半端なものがひとつもない凄い。(スッキの女中制服着たいすぎるとにかく可愛い)
妥協を許さないものづくりって素敵だなと心の底から思った。
そして主演2人の表情も凄まじい。美しすぎて何回も一時停止してしまった。
お気に入りは桜の下の秀子、沐浴時に歯を削ってくれるスッキを見つめる秀子、屋敷から走り出す2人の笑顔、船の上のお茶目な2人、どこを切り取っても本当に本当に美しい。
秀子の透き通る白い肌とスッキの少し浅黒い健康的な肌のコントラストも印象的。

ストーリーとしても、シンプルに脚本の面白さが頭ひとつ抜けていて、緻密な仕掛けと伏線には目を見張るし、騙し合いは最後まで先が見えず飽きずに楽しめる。
今回体力と気力的な問題で約3時間の長尺を寝る前に30分ずつくらい1週間かけて観る、みたいな訳の分からない鑑賞方法をしてしまったので時間をとってもう一度通しで楽しみたい。

伯爵、切り取られなくて良かったね
あと何億回も言われてることかもしれないけど日本の映画ポスターのセンスって本当に壊滅的
お嬢さんの世界観ぶち壊しすぎでは、って観た後に悲しくなってしまった。ほんとに。
AYAKA

AYAKA