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シエラネバダのyのレビュー・感想・評価

シエラネバダ(2016年製作の映画)
4.0
2023/2/7 2回目
せっかく家族で集まっているのに喧嘩ばかりしている家族を少し離れたところからカメラが監視する。通り道になっている部屋から色々なドアの開閉と人の出入りを覗き見しているようなシーンが好き。

「亡くなった一家の主の法要で、親族がアパートに集まってくる。細かいトラブルが重なり物事は予定通りに進まない。歴史を巡る口論、厄介な叔父との押し問答、一向に到着しない神父、そして料理は冷めていく…。ルーマニア映画界のフロントランナーのひとり、クリスティ・プイユ監督が、激しい出入りとエンドレスな議論とでカオスと化す狭いアパート内に、親族という巨大な小宇宙が浮き上がってくる様を驚異的なリアリズムで描き切る。父親の法事の場で共産主義を巡って口論した監督の経験がベースになっている。ルーマニア民主化の前と後を知る監督は、歴史認識が時代に応じて変わる様を体験しており、世代間の意見の衝突を執拗に描いていく。そのうえで、異なる歴史観の持ち主も飲み込む親族という集団の底知れなさを覗きつつ、亡父の昔の嘘に傷つく男の心も描き、マクロとミクロの双方の視点を内包した深淵なる作品である。
2016年カンヌ映画祭コンペティション部門出品。」
東京国際映画祭より
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