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デジレのmのレビュー・感想・評価

デジレ(1937年製作の映画)
4.7
小声のおばさんめちゃくちゃ面白かった ディナーシーンずっと笑ってた。漫才映画!

アフタートークで濱口さんも仰ってたけど、いい映画≒動線や運動と語られることの多い映画史において不遇な扱いを受けていたギトリらしいが、断固としてそんなことではないんだとハッとさせられた。
何となく作為を感じすぎるフィギュアスケート映画(技でスコアが出る映画をそう呼んでいる)は、やっぱり凄いんだが、何か大切なことを忘れているような..と不安になったり、結果の見え透いた肩透かしを喰らう時もある。(やっぱ羽生くんより宇野くんか?)

別にワンカットで縦横無尽にカメラや人物が動かなくても、全然画は面白くなれる。舞台が基本的には動かないように。
演劇をそのまま撮ることは誰でもできるが、演劇がそのまま映るように撮ることはできない、というのはまさにそうだ。
冒頭のメタ的なスタッフ紹介しかり、この映画は作られている、だからあなたはこの映画の嘘の共犯者になってくださいね、という前説も効いている。

ギトリ作品を見ていて不思議なのは、カメラは少し寄ったりパンしたりするものの極端な動きを見せない・カットバックなども多用される・ほとんどスタジオ撮影なのにも関わらず、常に映っている人物以外の景色に感動できるところだ。ずっと見れてしまう破茶滅茶な面白さがある。映画って面白いんだなと。
(でも、この後に見た『郊外の鳥たち』で、そんな簡単な話ではなく、ギトリが上手いということを再認識。)

記憶に残っている細かいシーンでいうと、、
貸りた本を自然に開けた時に、癖がついた部分が開いて前に読んでいた人の痕跡がわかるというのは、サラッと描かれてるけど、度肝抜かれた。芝居や戯曲の可動域があまりに広い、広すぎる...極シンプルなシナリオも何とも目新しく映る。
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