樹

ブンミおじさんの森の樹のレビュー・感想・評価

ブンミおじさんの森(2010年製作の映画)
4.5
不思議な体験ができる映画が観たいと思ってた頃、出会った一作でした。
はっきり言って難解で、眠くなったりしましたが、妙にいろんな部分が印象深かったです。
 特に好きだったのは、洞窟に入っていくシーン。真っ暗闇の中を進み、時々何かがちらっとだけ見えたりはしつつも、完全に真っ暗な瞬間すらある、風変わりな映像。情報量が減って、それがむしろ想像力を湧き起こして惹きつけられました。それにしても意味は分かりそうで分からなく…洞窟、水や魚…死と生のイメージが重なって…母胎みたいな意味もあるか…?…とにかく全力で想像と考察を同時進行したのに歯が立たなかったのは、やはり僕の教養がなさすぎたせいなのでしょうか。しかし非合理で突飛で説明不可な感じが、森や洞窟から受け取る何かの感覚を的確に捉えているようで、納得感があった気がします。
 
 おそらくこの映画を深く知るには、タイの文化観を脳と体に染み込ませないと厳しいのかな、と思います。分からないなりに自由に観るのも楽しいのですが。

 あと一応、幽霊や精霊(ピーっていうの?)と会っても驚かないのが変わってる、という意見はたまに見ますが、僕的にはおとなしい幽霊とあったら、とりあえずこの映画のように冷静に対応するのが自然かな、と思ったりします。しかし、この認識もタイの死生観と照らすとズレているのかもしれないけど。
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