ブンミおじさんの森の作品情報・感想・評価

ブンミおじさんの森2010年製作の映画)

UNCLE BOONMEE WHO CAN RECALL HIS PAST LIVES

上映日:2016年01月09日

製作国:

上映時間:114分

ジャンル:

3.5

あらすじ

腎臓の病に冒され、死を間近にしたブンミは、妻の妹ジェンをタイ東北部の自分の農園に呼び寄せる。そこに19年 前に亡くなった妻が現れ、数年前に行方不明になった息子も姿を変えて現れる。やがて、ブンミは愛するものたちと ともに森に入っていく…。美しく斬新なイマジネーションで世界に驚きを与えた、カンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)受賞作。

「ブンミおじさんの森」に投稿された感想・評価

上座部と大乗の違いあれど、仏教の死生感ある日本人の方が欧米人より入っていきやすい話かな。
 最初の20分くらい観ているとちょっとタルコフスキーを想起させるのですが、でも全然そういう映画ではなくて、むしろ黒沢清のような、しかし立ち位置としては黒沢清と対局にあるような人間的な温かみがあるというか。

まあ、バートンがこれを観て「ファンタジー」と称するのもわかる。わかるんだけど、それってつまり異界としての他者との邂逅だから、厳密にはこの映画そのものはファンタジーではないんだと思う。バートンもそのへんはわかっていそうなコメントではあるんだけど。
タイの文化と日本の文化がどの程度の共通点を持っているのかはわからないけれど、多分、欧米人や北欧の人がこの映画を観た場合とではかなり印象が異なると思う。
というのも、この映画にはアニミズムが日常の範囲にあるからだ。猿人になってしまったブンミの甥っ子とか、カットを割らずにフィックスのままごく自然に現れる死んだブンミの妻の霊とか。少し驚きはすれど慄きはせず、その驚きも概念そのものに対してではなく「なんだよ、そこにいたのかよ」といった程度の驚きだし。

あと猿人が森の中で赤い目を光らせているのとか、モロに「もののけ姫」の猩々まんまだったりするのとかを考えると、やっぱりアジア的というかアニミズムだったり八百万とか付喪神とか、あの辺の文化に近いのだと思う。

だから、バートンが観たようにはわたしの目にはこの映画は映らなかったかなぁ。それでも、奇妙な体験をしたいのであれば割とオススメかもしれない。感性的に近いものがあるからこそ、むしろ大きな隔たりを見せつけられて奇妙な感覚に陥るし。
説明を排した部分やあまりにスローペースな作風はかなり好みの分かれる部類だと思うし、わたしも正直なところ集中が途切れたりしていた部分はあるので、なんとも言い難いところではあります。

でもまあ、中盤のナマズと王女の異種姦はエンドクレジットあたりの「前世を思い出せる男」から着想を得たという字幕で「あーもしかしてあれって前世かなぁ」とわかる感じではある(いやまあ、冒頭にも前世云々のくだりはありますが)ので、キューブリックが好きな人はそういう映像で語る作家だと思うのでオヌヌメかもですね。

このレビューはネタバレを含みます

『ブンミおじさんの森』鑑賞。ウィーラセタクンは都写美の展覧会は行ったけど映画を観るのは初めて。かなり難解な映画だった。
農場を経営する温和な性格のブンミは皆に慕われながらも、透析治療を受け自らの死を予感していた。そんな時、目の前に亡くなった妻の霊と行方不明になっていた息子が猿の姿で現れる。死ぬ間際に見る走馬灯が実体を帯びたようだ。それ以外にも、前世の記憶や来世の自分の姿を夢(?)に見るなど、怪奇現象に見舞われる。死期を見計らったかのように起きる不思議な現象は、タイトルの示す通り森からブンミへの意志なのだろうか。ソラリスの理性を持つ海のような?わからん…
クライマックス、ブンミが死期を悟り、妻の霊に誘わられながら、森の洞窟まで歩いていくシーンは良かった。暗闇の森も洞窟の中も、まるで死後の世界に通じる異世界のよう。特に洞窟内の生々しい映像は、思わず食い入って観てしまう。
そして、最後は妻の霊のそばで生き絶えるブンミ。葬式には生前彼を慕っていた多くの人たちが。ラストシーンの幽体離脱が謎。
水のま

水のまの感想・評価

4.0
東洋の人にとって信仰の対象としての 芸術の源流としての森っていうのがあるよね
斯くして私はアジア人だと自覚する

35mmフィルムで鑑賞
YIPPS

YIPPSの感想・評価

4.7
初アピチャッポン、思った以上にぶっ飛んでいた。ちょっと神話、民俗学っぽい感じか。タイの田舎の生活に、突如としてカチ込んでくる非現実を驚くほど自然に受け入れていく様に一時は笑いそうになった…アジアンムービー諸作品でみられるような冷めた、かつ静かな息遣いを感じるような独特な空気感と随所にみられる美しい光。クセになりそう。
G行為

G行為の感想・評価

2.5
幽霊や猿人間の存在を抵抗なく受け入れて、なんだこれ?…が続いて、やがて静かに終わる。。。
田舎の景色に、ゆったりした会話、動きのないカメラワーク。
相当退屈な映像のはずなのに、なぜこれを最後まで観ていられたのか自分でも分からない。

ただ、このブンミおじさんのように、もしも亡くなった後に知り合いに会えると思えば死ぬ事への恐怖心は薄れる気がする。
穏やかに亡くなる人っていうのは、逝く前にこんな体験をするのかもしれない…なんて、思った不思議な作品。
北千住ブルースタジオにて視聴。のっけから耳もとで聞くような木々や虫の騒々しいざわめき、森の深々とした闇が、文明に毒されていない映像世界へとトリップさせてくれる。精霊や死者と当然のように共存し、その境を曖昧に生きることのできるブンミ。ナマズと女王との生殖シーンなど、エロティックかつ神話的な世界観、そして音響、アンビエントのような地鳴りを劇場で体感しているうちに、この肩に乗った現代社会という荷が徐々に取り除かれ、深い洞窟に紛れ込んだように胎内回帰の感覚さえ誘う。

けれども、それもやがて失われる感覚であることをも、映画は劇中で示唆する。その感覚の持ち主たちが「過去の人」としてスクリーンの中でしか生存できなくなるであろうこと、故にその世界を五感で再現できるよう、失われないようにする、その執心の実現は、フィルムでしか出来ないことだ。「映画」という形で見(まみ)えることが出来て本当によかった。
smmt705

smmt705の感想・評価

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はう…なんて素敵なんだろうか。8年ぶりに観たのだけど、あの時とは全く違う気持ちだなぁ。
闇で開けている目は、開いているかなんて分からないかもしれない。それと同じくして、昼間だって何だって、本当に見なきゃいけないことって見えてないのかも。もう、去ってしまうかもしれない人に、逢いに行かなきゃだ。
紫色部

紫色部の感想・評価

4.0
2018.2.10 BS ②

たとえ地震速報のテロップに15分近く妨害されようとも、あらゆる営みが確かに息づいた画面や音響には本当に圧倒されるし、アピチャッポンにしか生み出せない時間感覚の迎えるラストのポップ感にはやはり万感の思いが込み上げてくる。
ウシ

ウシの感想・評価

4.2
この説明のなさと映像の強さはかなり相性が良いのかもしれない。
でもって音楽がチョー良くて、これは映画館で観るべき、観れてよかった


なるほどツァイミンリャンかも
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