ブンミおじさんの森の作品情報・感想・評価

「ブンミおじさんの森」に投稿された感想・評価

しゃび

しゃびの感想・評価

3.5
とても感慨深い作品。

生と死、精神と肉体、前世と現世、人と人以外、カメラの内側と外側、運動と静止…
などなど、この映画はあらゆることを相対化していく。人は普段無意識のうちに色々なことに線引きをしているが、その線は思っているより曖昧なのかもしれない。

この手の映画はこれからどんどん増えていくような気がする。
事実、映画の構造も境界の不明瞭な作品が増えてきている。そして、国境・性差・人種格差など私達の実生活においても、昔に比べて境目が少なくなってきているように感じる。

現代はボーダレス化と、その反動がせめぎ合っている過渡期のような時代なのかもしれない。
独裁者が支配している未来という、この映画のイメージはどうにでも傾きうる危うい現代社会への警告なのだろう。

この映画が提示している世界にはとても共感できたし、感銘も受けた。
ただ個人的な感想として、胸にささるイメージがあまりなかったように思う。森、せせらぎ、洞窟、幽霊、精霊、王女と湖、ゆっくりとした映像。全体的にありがちな描写の組み合わせが多く、もう少しイマジネーションが欲しいかなと感じてしまった。特にこれだけロービートで進む映画なら、もう少し独自性が欲しい。

この映画自体は少し惜しいなぁと思う部分が多かった。でもこれを起点として、新たなイマジネーション溢れる作品が出てくるような予感がしてワクワクする。
Kedjenou

Kedjenouの感想・評価

4.5
不思議な世界に入り込んでしまう。こんな映画初めて。

「映画」と思ってみるより、アートビデオのつもりで観た方がいい。

「映画」としては、「良いけど眠い」のカテゴリーに入れたい。
がく

がくの感想・評価

3.5
幽霊や精霊といった「霊」というものの境界線があの森だったのだと思います。
日本人からすると、理解がよくわからないところ(私だけなのかもしれませんが)が多かったのですが、東南アジアの方では、結構、精霊というものが信仰されているようですね。
元来、人間と精霊とはとても近しいものなのではないでしょうか。
しかし、実態がありすぎるのではないか、と疑問が残りましたが。

綺麗な自然でした。
ryom

ryomの感想・評価

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コントラストの映画、暗闇は黒に沈む。かたや色褪せたテレビ画面に見入る人。でも色ではファーストショット、結局牛と煙りのとこが一番好きやったかな?エロナマズも出てくるぜ、、
映画男

映画男の感想・評価

3.5
神秘的で美しい映像と物語。心が浄化される。まるで寺院でお経を聴いて身を清めるような映画体験だった。日本でいうと河瀬直美の映画に限りなく近い(沙羅双樹)
Hiromasa

Hiromasaの感想・評価

5.0
オカルトとも言えるけど、奇妙に魅力的である。湖の場面とか忘れがたい。
最後に流れるタイポップス(?)もなんかいい。
ちろる

ちろるの感想・評価

4.0
静謐で美しい自然に囲まれたブンミおじさんの生活の中に突然現れる亡くなった妻の亡霊、猿の精霊・・・
と、想像していたよりもかなり奇想天外なお話だったのにもかかわらず、これを滑稽だと感じる自分がおかしいのではないかと感じてしまうほどにブンミおじさんとその周りの人間は彼らの存在を淡々と受け入れる。

恐らくブンミおじさんの住む村に囲まれた村だけは、時間も自然の摂理からも逸脱した不思議な異次元の入り口に囲まれていて、死と生の境界線がとても曖昧なのだろう。
1つの観念に縛られることのない登場人物たちの姿勢を見ているだけでなんだか心地よくて、人間、動物、精霊の境界線を引いてた自分がとても恥ずかしくなる。
少しスピリチュアル的な話になってしまうけれど、生の世界も死の世界も精霊も、動物たちもそれぞれの時間を共有しているのだろうと何となく思うからこういう風に映像化されて見せられると私は妙に納得してしまう。
カンヌ映画祭パルムドール最高賞を受賞した本作、カンヌはこういう類のおはなしが好きだと思うのだけど、自然崇拝の神道が元となる日本も割とこの感覚に近いから腑に落ちる人も多いのではないだろうか。

好き嫌いは恐らくはっきりと分かれてしまうかもしれないけれど、
緑色に染まった薄暗い森の生活と、突然寓話のように描かれるナマズと王女の滝壺のシーンなどは必見。
タイの観光地とは全く違う私の知らない田舎のタイ。
独特な世界観を堪能できる湿気を帯びたアジアンファンタジーとして楽しめました。
2018.11.07
自宅にて鑑賞

アピチャッポン監督初鑑賞。
2010年、タイ映画初のカンヌパルムドール受賞。

カットのテンポが限界レベルに遅い。
森を歩いてるだけの1カットが30秒が当たり前の世界。寝落ちしなければ奇跡。
東北タイの自然の風情は確かに心地よくて、その(環境)音を聴かせるためにこれほどのゆとりを持たせているのだろうが、如何せん長い。

ストーリーはこうだ。
序盤、家族で飯を食っていたら、急に死んだ妻が半透明で現れる。数分後には赤く光る眼の類人猿と化した息子が、ゆっくり階段を上がってくる。西洋的なパターンだとこれはホラーもしくはコメディ以外の何物でもないが、この怪奇現象を家族がすぐに受け止めるのが狂気だ。

腎臓を冒されたブンミは死期を悟り、妻に森の洞窟にいざなわれ、そこで自分が類人猿として迫害された前世を思い出す。そして死ぬ。
残された家族にも幻覚が残っているのか良く分からないラストカットで終わる。
途中で差し込まれる、ナマズと性交する偽王女は一体。

森の迫力があるのは分かる。しかし残念ながら2回観ても話も主題も意味が分からない。

この年のカンヌの審査委員長を務めたティムバートンによる評がこれだ。
「世界はより小さく、より西洋的に、ハリウッド的になっている。でもこの映画には、私が見たこともないファンタジーがあった。それは美しく、まるで不思議な夢を見ているようだった。僕たちはいつも映画にサプライズを求めている。この映画は、まさにそのサプライズをもたらした。」

全体として死の気配がちらつき、タイ仏教の色/音/雰囲気に彩られ包まれる今作。
ティムバートンさん、アジアのカルチャーに呑まれたんだろうか。

森の匂いの素晴らしさはさておき、パルムドールを取るほどかというと疑問符。
maco

macoの感想・評価

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この境界があいまいな感じがアジア的なのか、とても落ちつく。こういうのがちゃんと評価されて、結果私たちの目にも届いて、ほんとによかったなと思う。
某名レビュアー氏の命名によりここフィルマー国では「瀬田くん」愛称で知られるアピチャッポン監督。のこの名迷宮作により不死のホモ・デウスにもなれずホモでもないホモ・シネマサピエンス達は真のグローバリズムというものが水牛とナマズと人と猿の壁も、生と死の壁も、乱世と和平の壁も、移民と家族の壁も、自身とドッペルゲンガーの壁さえも超えるものだと示唆される。月夜の水牛の恍惚的なケツ。慄きのような憧れのような赤目のお猿たちの神話世界。それを内から食い破ってチェストバスターみたいに出てきそうな現実世界バイオレンスの影。この世界には色んなものが蠢き潜んでいて、それでもこの世界にはこんな映画がある。と思わせてくれる瀬田くん、ありがとな。
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