Naoya

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。のNaoyaのレビュー・感想・評価

4.1
スティーヴン・キング原作小説の映画化。静かな田舎町で相次ぐ子供の失踪事件。町の子供たちは、何かに恐怖を感じる度に見る〝それ〟を目撃する。そして、事件の真相、恐怖の真実を求めていくホラー作。スティーヴン・キング作らしく、ホラー要素は濃厚にありながらも、町の子供たち、グループのひと夏の体験を描いている物語。若く、爽やかさのある淡い青春物語も密に描かれているので、ティーンものとしても楽しめる。それぞれの主要メンバーの子どもの個性も確立しており、個性的なメンバーの掛け合いも面白く、各々が群青物語らしく良い雰囲気を出してます。いじめっ子がいたり、グループ内の揉め事や色恋沙汰と、王道がありながらも退屈さを感じさせない雰囲気が微笑ましくもあり、苦くもある。そんな淡さのあるひと夏だからこそ、恐怖描写が目立って際立つ内容になってます。基本的に、本作の恐怖の象徴たるピエロのペニー・ワイズが見せる恐怖が主であるが、その演出の多種多様さが素晴らしい。ペニー・ワイズというピエロのキャラクターに合った気さくさがありつつ、しっかり恐怖として植え付ける様なものばかりで魅力的。その恐怖も一辺倒ではなく、各々の子供たちに見合った恐怖を演出しており、一つとして同じ〝恐怖〟の形がないのが良い。それが物語の展開にもしっかり影響しており、基本的に無駄がない。ペニー・ワイズを演じるビルスカルスガルドも、多才な演技力で素敵。ノスタルジックな青春物語に、上手くホラー要素が密に絡まっており見応えがある。90年作の同名映画でのペニー・ワイズ(ティム・カリー)よりも、コメディさはやや薄まっているが、その分のトラウマ級の恐怖描写は魅力的。90年作とは異なる濃いゴア描写や残酷描写は素晴らしい。冒頭の掴みは最高の幕開け。結末も、子供時代としての起承転結の〝結〟として破綻のない終え方で良い。ホラー映画でありながら、子供たちの冒険譚としても素敵な終え方になってます。2時間弱ありながらも、退屈させないバラエティ豊かな内容。そして、本作はあくまで〝子供時代〟なのだ。2時間弱での物語にしっかりと起承転結詰め込まれており、一映画として傑作の物語となっているが、本作はCHAPTER1であり、物語はまだ終わらない。
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