モウドクウサギ

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。のモウドクウサギのレビュー・感想・評価

3.8
ピエロがビビらせるホラー映画って…アレまたやんのかよ…と、ちょっとバカにしていたけど、レイトショーには中学生~高校生あたりの仲良しグループでの観客も多く、和気藹々とした雰囲気で微笑ましく鑑賞。「友達が見て凄い怖いって言ってた」とか、「○○ちゃん、泣かないでね」とか、「もう15歳だから大丈夫!」とか傍から見ているだけでほっこり。映画の中身も実はそんな感じ。大きな音と、ショッキングな怖いピエロがドーンと映って、登場人物の子供たちがウギャーっとなる。こういった古典的なショッキングホラーに、恐怖を克服し、親の拘束ほ振りほどき、仲間とともに力を合わせて成長していく純ジュヴナイルものを混ぜたような映画だ。キャラクターも多いことも手伝って、パッチワークのように組み合わせたクレイジーパターン仕立てのように一見ちぐはぐながら、なかなかに牽引力があり、モチーフとなっている変幻自在なピエロにマッチしている。たくさん映画を観る客向けには懐かしく、新参者も十分楽しませるといった、難しいこともしっかりやっている。ただ恐いだけでなく、一種、悲哀の象徴でもある「それ」が終盤吐くセリフは、大人の観客にも揺さぶりをかける感慨深さを孕む。登場人物の年齢よろしく、本来この映画は小学校高学年~中学入りたてのタイミングで観るべきなのに、R15というレイティングが立ちはだかっているのが残念だ。