てんあお

LOGAN ローガンのてんあおのレビュー・感想・評価

LOGAN ローガン(2017年製作の映画)
4.8
前作も確かに観てはいるのだけれど、それでもシリーズ中では異質、かなり単体感の強い作品。なんだろう、長く続いたシリーズ漫画の、唐突につくられた最終回のようである。

別に物語に無理がある訳ではないけれども、時折引き合いに出される、過去の出来事に対する後悔の念と「映画からの」引用に、何かが違うことを感じるのである。それは、ジェームス・マンゴールドという映画監督の、悲壮な繰り言のようにも思える。

Twitterにそれを指摘している声も見かけるけれど。ジョージ・スティーヴンスの名作のこともあるけれども、所々に思い出されるのは、サム・ペキンパーの、映画であったり、その言動ではないだろうか。マンゴールド氏は、この作品に「時代遅れになって追われる者たちの」叫びを込めているようにも思える。まぁ「西部劇」なのである。

近未来の世界のなかで、未来的な兵器もなしに、アダマンタイトの爪にもがれ引き裂かれ肉塊にされる白兵戦。ちゃんと映画のなかに「地獄絵図」を再現して、ヒーローたちと悪漢どもが繰り広げる「殺戮」というものの殺伐を描いている。嘘はあるかも知れないが、逃げてはいない。天国を語る者には、自らが犯した罪と向き合えと説く。やはり繰り言なのである。

まぁ、マーベルのヒーローものがみられるとポップコーン片手に気軽にみにきた若者たちに、トラウマを与える当たりの強さをくれてありがとう、と。みんな、ジョニー・キャッシュの歌声まで残さず堪能してから家路につくように、と言いたい。
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