南

LOGAN ローガンの南のレビュー・感想・評価

LOGAN ローガン(2017年製作の映画)
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「エンディングまで、泣くんじゃない」


世代交代や親子の絆を描きながら、一人の罪びとが自分の人生にケジメをつける姿を描き切る、まさに葬送歌としての映画。

反目し合っていた擬似親子が絆を深めていくロードムービーという『ペーパームーン』形式の映画でありながら、

主人公と観客に突きつけられる主題はあまりに厳しく容赦がない。

「無垢な存在を救うなど善行を重ねたとしても、人を傷つけた罪が消えることはない」

そのメッセージは劇中でもフィーチャーされる『シェーン』または『トゥルーグリット』、さらに『許されざる者』そして『グラントリノ』にも通じる。

鮮血が飛び生首が転がる一方で、感情的な演出は抑制され、死はあくまで冷徹に描写される。

その乾いた語り口はコーマック・マッカーシーの小説を読むようだ。

映像面での主人公とも言えるアメリカの大自然は、まるでアンセル・アダムズの写真やハドソンリバー派の絵画に見えてくる。

そして『レオン』と並ぶ珠玉のラストシーンでは、

ローラが見せる不意打ちの行動に涙がボロと溢れてしまった。

罪について、贖罪について、罰について、命について。

X-MENという枠にとらわれない普遍的な価値を持つ名作である。

是非モノクロで観たい。


※ローガンとプロフェッサーのかけ合いに既視感あるな〜とモヤモヤしてたけど、あれだ。ジョジョ4部の仗助と老いたジョセフの感じだ。
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