しらす

藍色夏恋のしらすのレビュー・感想・評価

藍色夏恋(2002年製作の映画)
3.5
最初から最後まで3人の感情が整理されないのも成長している過程という意味で良かった。全部中途半端だけど確実に感情は変化していて、各々がその変化に気づき始めているのがよく表現されていた。今こうして客観視できるのは彼らより少し成長しているからだと思う。

2002年は私が生まれた年であり、この時代にこういったLGBTQを題材にした映画は珍しかったのではないか。知識もない人ばかりだったのでは。そして自分自身で同性愛者だと認めることさえ難しかっただろう。
それに、受け入れる風潮もなかった。それをうまく表現しているのがユエチェンである。勇気を振り絞ってユエチェンにアクションを起こしたモンクーロウだったが、一瞬で態度が変わった。クーロウが空気のように扱われるバスケのシーンでは胸が痛んだ。
そんな性的少数者に無知な社会に、性的指向の幅広さを学ばせるきっかけを与えた映画だったと思う。
一見重くなりがちなテーマだが、青春と絡めることで淡く爽やかに仕上げていて、視聴者に重圧を感じさせることなくLGBTQの存在を伝えられているなと思った。
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