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ハクソー・リッジのShinMakitaのレビュー・感想・評価

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
2.7
「神様、もう一人……」

1945年、太平洋戦争末期。沖縄の激戦地ハクソーリッジに投入された歩兵部隊の中に、バージニア州出身の若者デズモンド・ドスがいた。彼は〈銃を持たない〉という信念の元に入隊した衛生兵。敵を殺さない兵士など信用できないと、仲間や上官たちに疎んじられながらも、彼は地獄の戦火の中を駆け回る…


メルギブ渾身の一作「ハクソー・リッジ」。日曜の朝から観てきました。

メルギブ版プライベートライアンであり、メルギブ版シンドラーのリストでもある本作、なかなかの良作でした。

以下ネタバレ!



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銃を持たない、敵を殺さないという信念…戦争に於けるこの信念の是非はともかく、観客がそれを受け入れられる説得力があったのが好感です。割と時間を割いて少年期からハクソー前を描いているんですが、その中でなぜデズモンドがその信念を持ち入隊決意に至ったかをしっかり描いているんですよね。それに、その信念を声高に叫んで押し付けないのがいい。ハクソー後は、仲間たちから受け入れられて行く様が気持ち良いし、特に天敵だったスミティとの和解はグッときます。

誰もが泣く場面はもちろんエドモンドが負傷者を降ろし続けるあのパートなんだけど、私的には前半の、ヒューゴ・ウィービングが演じた父親の場面。彼が出てるところ全てが良い!親友の墓の前で酔いどれるパパ、ハル入隊を知って酷いエピソードを語るパパ、そしてエドモンドの危機を知り、誰にも相手にされない旧軍服を着るパパ…なんか全てのシーンで泣けちゃうの。先の大戦で負った傷と家族愛が葛藤しているサマが、演技から滲み出てるのね。ヒューゴさんって、マトリックスと指輪物語くらいしかイメージない人だったけど、見直しました。最高ですよ、この人。


重く暗いハナシの中に、エンタメのカタルシスをちゃんと入れこんでいるから、全方位的にオススメできる一本。ぜひ劇場で!
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