"ハクソー・リッジ"での戦闘シーンは、『プライベート・ライアン』に迫る壮絶さ。銃での打ち合いだけでなく、倒れ込んでナイフで刺しあったり、地下トンネルから日本兵が蟻のように出てきたりと、これまで観てきた戦争映画にはない白兵戦の、人と人との殺し合いの恐怖を感じた。
それにしてもメル・ギブソンは、主人公を英雄として描きたかったのか、それともある種の狂人として描きたかったのか。恋人を口説く場面や戦場に行くまでの主人公の姿は、日本人の私には少し異様に思える(はっきり言うと、白痴に見えた)。イエスへの狂信が、沖縄戦の地獄の中であの英雄的行為を生み出した、ということなのだろうか。
