まつこ

ハクソー・リッジのまつこのレビュー・感想・評価

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
4.3
ハクソーリッジで「もうひとりだけ救わせて…神様」と祈りながら救助し続けた衛生兵の真実の物語。

ガーフィールドがとっても似合う役所だった。「沈黙」とはまた違う葛藤と信念。彼の思いに涙した。

地獄絵図のような場面に目を細めてしまう。飛び散る肉片に臓物。そこに群がる鼠。遠い世界のようだけど、実際にこれを見て戦ってきた人たちがいることを思うとやるせない気持ちになった。

豊かになるために始まった奪い合い。お互いに守りたいものがある。訓練を受けても実際に銃を握っているのは一般市民。誰かのお父さんであり、恋人なのだ。

私が日本軍に詳しくないこともあってか、気になる描写は特になかった。沖縄の方が見たらまた違うのかもしれないけど…一方的な悪ではなかったし、万歳精神の狂気さが出ていたり、陥落の際のスローで見せる切腹が美しくて個人的には配慮を感じた。(「リトルボーイ」をこの間みちゃったからかも)

イラク、ベトナム、アジア…自分に重ねて観た帰還兵は何を思うのか。PTSDの扱いも自然でメルギブがお父さんをしたらもっと哀愁たっぷりだったのかなとか思ったり。

なんとなく懐かしい感じの映画だったなぁ。家族や恋人との生活から戦地へ出向き、信念のために生き抜く。たびたび映される崖とか空が90年代の映画っぽさを感じさせた。

戦闘描写はそんなに多くないけどずっと体が強張ってて観終わる頃にはちょっと脱力。「プライベートライアン+ブラックホークダウン+パールハーバー÷3」にメルギブ印の宗教パウダーを一振り入れたような本作。

ラストの演出がまたニクイ。

いい作品だった。
できることなら永久に戦争を放棄したい。
まつこ

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