アメリカ人も、日本人も、みんな死んだ。
それはまさに「地獄」の実写のようであった。
場所は、沖縄県浦添市前田高地。
日本軍司令部が置かれている首里城(地下)を防衛するための前線が敷かれていた。
日本軍は徹底抗戦で防衛を、アメリカ軍は日本侵攻のための沖縄侵攻。ハクソーリッジの攻略は必須。そのため両軍衝突の激戦区となったらしい。
メル・ギブソン、リアルです。これが戦争なんだろう。日本人も、アメリカ人も、みんな死ぬ。殺して、殺されて、敵の、味方の、友の屍を越えていく。
そんななか、主人公デズモンドが人を生かすために奔走する。もう一人、もう一人。神に祈りながら、神ではなく人が人を助ける。武器も持たず、敵も味方も、命がけで助ける。もう一人、もう一人。
それは地獄の戦場にあってあまりにも心を揺さぶられる光景だった。彼は笑顔で、傷つき、死に直面している兵士たちに希望を与える。同時にわたしたちにも。「大丈夫、必ず家に返すから」
こんなに主人公に共感できるのも、前半でデズモンドの生い立ちを丁寧に描いているから。彼が武器を持たない理由。その強さの理由がじっくり描かれていて、題名の「ハクソーリッジ」はやっと後半から。
その前の入隊して配属された部隊にいる仲間たちのキャラの濃さに吹いた笑。 足！ナイフ！ そして裸…のままて！笑 戦争映画なのに笑いが含まれていた！
あの頃の日本の様子は映画やドラマ、書籍などで知る機会が多いけど、アメリカ本土の青年たちや人々がどういう時間を過ごしていたのかあまり知らなかった。もっと知りたいと思った。それにしても、理不尽なことは日本軍でもアメリカ軍でもあるんだろうけど、アメリカ軍の方は軍法会議や裁判でも憲法で守られて弁護士までつき、無罪を主張できたりするんだなあ…すごい。
