小倉愴

ハクソー・リッジの小倉愴のレビュー・感想・評価

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
4.5
傑作。
確かにこれでR指定じゃないのか!? と疑うような容赦ないゴア描写が次々と展開され、万人に勧められる訳じゃないけど、そんなゴア描写も戦争とはどういうものか、を真正面から描こうとする覚悟ゆえ。

そしてだからこそ武器を持たず救命兵として戦場を駆けるデズモンドの狂気と隣り合わせとも言える強さが活きる。

そしてそんなギリギリの絶妙なところを表現するアンドリュー・ガーフィールドもお見事。
戦争映画ではあるけれど、実は前半は人間ドラマであり法廷ものでもあるのでキャストの演技力(特にヒューゴ・ウィービングは過去ベスト級の演技)も丁寧な演出がピカリと光っています。

そうやって前半で積み上げたものを後半の戦争映画にシフトしていった段階で壊していく。絶望的なまでに壊されそうになっても最後まで残ったものが………
という構成は王道だけど、確かな技術がないと作れない。

改めてメル・ギブソンの天才的作家性を感じた傑作でした。
小倉愴

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