ぺん

ハクソー・リッジのぺんのレビュー・感想・評価

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
4.3
主人公の狂気すら感じるほどの強い信仰心、そこから生じる誰も殺さないという信念は一本筋が通っていて引き込まれる。
彼と家族との関係性を序盤から丁寧に描いているので、武器を持たないと決意した過程も共感しやすい。
後半は惨い戦闘描写、切羽詰まるシーンの連続の中、繰り返されるデズモンドの人命救助は美しく、眩しいです。

しかし展開上、戦闘が行われるのが高地のみなので、規模がかなり小さく思えてしまった。
更に現地の民間人の描写が一切抜けている。
が、デズモンドを中心に描く以上これで良いのだと思います。良いと思うのですが、少し落ち着かない気持ちにもなりました。

個人的な話ですが、自分の祖父はまさに沖縄戦を経験しました。当時の話、実際に犠牲になった民間人の話も聞いていたので。
スクリーンに映らない部分に犠牲があることを少し匂わせて欲しかったな、とはどうしても考えてしまう。

祖父は捕虜になり米兵に親切にしてもらったことがキッカケで、英語を勉強し、海外もよく出かけていました。
家では頭の固いジジイでしたが、生きていたら一緒に観に行ったかもしれないなぁ。何と感想を言っただろう。
最後のインタビューを見ても、戦時経験者が減っていく中でこういった作品は貴重だと感じました。
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