カプチンバード

ハクソー・リッジのカプチンバードのレビュー・感想・評価

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
3.9
「沈黙」では神に祈って聞こえたのは「踏みなさい」だった。信念を曲げてでも命を大事にしなさい、と聞こえた。

今作、「ハクソー・リッジ」では「助けて」が聞こえた。踏み絵は踏まなかった。信念を曲げず、武器を持たなかった衛生兵が多数の命を救った。

どちらも正しく、いかなる理由があろうと戦争も迫害も間違いだと教えてくれます。

個人的に凄く胸を打ったのが、アル中の親父が息子のために手紙を届け息子の信念は本物で「良心的兵役拒否者でありながら、戦争に従事したいという思いを取り上げることはできない」とした議会法を盾に従軍を許可させるシーン。

父親としては、親友を失った戦争を憎み、酒に頼り、PTSDから家族に暴力を振るいながら、だからこそ子供たちを戦争に向かわせたくない…でも戦争に行かないということは恥ずかしいこと、弱腰で、国に対する忠誠心や愛国心がないというジレンマがあり、ここはすごく胸を打ちました。
結果的に父親が息子を戦場に送り出したわけですからね。このシーンだけで映画が一本撮れそうですね。

愛国心の形も色々ですが、国を愛するなら、同じ国の仲間たちを非難したり、自己責任として救わなくてもいいとか言うことはありえないと思いました。
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