“汝、殺すべからず”
そんな教えを守り、まわりからは臆病者だと揶揄されていた彼が、たった1人戦地へ残り、数十人もの仲間を助け続けた。
敵は日本兵、戦地は沖縄だったから複雑な心境ではあったが、誰も仲間が助けに来ない中、最後まで武器を持たずに、敵兵も含めて命を助け続けたその姿は、間違いなく「英雄」である。
彼は別に、戦争に反対するわけでも、武器を取る仲間たちを非難するわけでもない。
ただ、「人は殺さない」「人を殺す武器は持たない」ということを、強く心に決めただけだ。
でもだからこそ、一瞬でいなくなっていく命の重さが、それでも助けたいと願う彼の強さが、ひしひしと伝わってくる。
「one more... one more...」
映画で何度も聞こえる、「もう1人」の言葉が、彼の決意と覚悟の証だ。
彼がその後の人生を、愛する者とともに過ごし、そうしてその強き人生を後世に残す映画ができたことを、本当に嬉しく思う。
どうか天国では、幸せな日々を過ごせますように。
