デジャブ

ハクソー・リッジのデジャブのレビュー・感想・評価

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
4.9
ただの英雄物語として終わらしてはいけない。戦争の現場の凄惨さをリアルに再現している。
沖縄の平和記念公園で見た戦場の惨たらしい白黒写真の数々。真っ二つにちぎれた身体。首から下は皮しか残っていない頭部。どれが誰の手足で頭なのかわからなくなった十数人のバラバラの遺体。
それらが色を持ち、映像として動き出していた。苦しかった。私の出身地である沖縄でかつて繰り広げられた戦い。米兵が日本兵の胸を撃ち抜き日本兵が米兵の頭を吹き飛ばす。その場ではどちらが善悪など関係ない。生と死が激しく入り乱れる激戦地。苦しい、が、目を逸らしてはいけない。
そんな戦場の真っ只中、敵味方関係なく負傷者の命を救う一人の米軍衛生兵がいた。
「あともう一人、命を救わせて」
彼の戦いはどれだけ多くの命を救えるかにあった。

戦争を知らない私たちは時として戦いのスリルや刺激を求めてしまうが、まずこの映画を見て欲しい。本当の戦争がどういうものであるかを教えてくれる数少ない作品の一つだ。