ぷん

ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャーのぷんのレビュー・感想・評価

5.0
「ライ麦畑でつかまえて」の作者サリンジャーの伝記物語

学生のころライ麦を読み、そこからサリンジャーに没頭してしまった、謎の多い文体と文学性のある若者たちの会話表現は100年経っても色褪せず、世代も国も違う自分を夢中にさせてしまった。
サリンジャー自身の作品としては数えるくらいしかなく隠遁生活を送って2010年に亡くなってしまった。謎の多いこの作家はどのようにしてライ麦が生まれ、主人公のホールデンコールフィールドが生まれたのか、あの刺激的で突拍子もないストーリーはどこから生まれたのかこの映画を通して知ることができる。
日本の公開をどれだけ待ったことか‥
今年入ってまだ一ヶ月も経ってないが今年ベスト級だった。ストーリー、音楽、俳優陣、舞台、映像表現、すべてが素晴らしい。
どこから語っていいかわからないが、ライ麦が好きな自分としてはこの映画自体がライ麦の呪いであり、それに続くグラース家のストーリーに繋がっており、要所要所で出てくる台詞やキャラクター関係などが表現されてて、ファンとしてのツボを完全に刺激された。
ストーリーとマッチングしてるしサリンジャーの心情がその台詞一つで感情がうかがえる、見事としか言えない。
サリンジャーを知らない人でも全く問題なく見れるし、もはやこの映画を先に見ることでライ麦畑やそれ以降の作品もすんなりと読むことができるのではないだろうか。
映画「セッション」とよく似ており、ただ全く違ってくるのが指導者の芸術の表現の考え方は内からくる圧倒的な爆発力を吐き出すことだ、と銘打ってくれること、あとはひたすらやり続け結果を出す。前半のやりとりは本当に熱く見ていてワクワクする。

ニコラスホルトは本当に最高、内心激怒してるくせにニコって笑うあの感じはまさにホールデンコールフィールドだし、どんどんと内的な悩みを募らせる姿は特別な表現をしなくても彼の手グセや動き方でつかみ取れる。最高としか言いようがない。

今年間違いなくベスト級の映画に早くもなってしまったが、2019年はマーベルやディズニー、DC系、スターウォーズ、たくさんの賞をもらった映画が数々と出てくる‥幸先良すぎ‥どうなるんだ2019年‥
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