思惟

ペーパーマン PaperManの思惟のレビュー・感想・評価

ペーパーマン PaperMan(2009年製作の映画)
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良い映画風なんだけど、決定的に苦手な部分があった。①主人公が途中で「なぜ俺たちは子供を産まなかったんだ!?」と奥さんに罵る場面。この後ちゃんと奥さんに「あなたが子供だからよ!!」と叱られるのだが、擬似的にもアビーという子どもとの能動的な接触で成長を遂げようとする姿が気持ち悪すぎる。②最後に若干プラトニックな関係を超えてしまう。無理。③イマジナリーフレンドにも自我や意志がありそうなところがこの映画の一番ユニークな部分なのに、そこを活かしておらず、ラストに主人公は40年も一緒にいたキャプテン・エクセレントに大した御礼なども言わず「消えろ」という始末。アビーと主人公は似たもの同士だから理解し合い、惹かれあうというのも、私にはちょっと理解できなかった。というのも、アビーが精神疾患を患っていそうな理由はしっかり語られるのだが、主人公の中年男に関しては、彼が抱える痛みや傷(イマジナリーフレンドが居る理由)が何なのかよくわかないため、主人公がアビーとの交流を通じて癒され、「成長」を遂げた理由もよくわからないのだ。(彼は孤独とはいえ結婚できているし、社会的にはそこそこ成功している。本人が口にするように自ら創作の為に不幸を演じているだけ、不幸になることを選んでいるだけと、本当の傷や人間関係の靄を抱えたアビーを見て気づいたとは言えるかもしれない。とはいえこれはかなり優しい解釈をしているだけで、主人公の過去やバックグラウンドについてももう少し言及すべきなはずなのだ。)
あとなぜアビーは貰ったスワンの手紙を海に流してしまうのか?主人公との交流や思い出を水に流す必要はないし、それがアビーの人生の仕切り直しになるとは思えないのに…。(イマジナリーフレンドとの思い出のものを海に流すのならわかるのだが)

良かった点:エマ・ストーンは、本当に演技が上手。ライアン・レイノルズはやっぱりガタイが良いのでヒーロー姿が似合うし、ラストの中指立ててるカットだけでも見た価値はあった。
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