じゅんふう

奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガールのじゅんふうのネタバレレビュー・内容・結末

2.4

このレビューはネタバレを含みます

ちゃんとiphoneにはロックをかけなさ〜〜〜い!!
としか感想が出てこない。
終盤で集結した時に妻夫木くんが「なんなんだよこれ!!」と叫ぶが、見ているこっちもなんなんだよこれ、という気分にさせられる一作です。

原作は粗い絵で話運びも突拍子ない不器用な作りながらもストーリーのパワーだけで魅せてきたのに対して、この映画、いろいろと装飾しすぎなのにアレンジする為に削ってる箇所が多くて、おもしろくなりかけてパワーダウン、またおもしろくなりかけてパワーダウン、みたいな繰り返しで非常にもどかしい。
まず水原希子さんというのがミスキャスティングで、水原希子さん自体は妖艶ではあるが蠱惑的というわけではなく、セクシーというよりはスレンダーで、綺麗だが性的魅力があるという方向性ではないので、次々と相手の情欲かき立てて手玉にとっていく今回の役柄は少し違うような気がします。もっと露骨なぐらいの媚び媚びの扇情的な女優でもよかったんじゃないかと思います…。原作での振る舞いから、大人っぽさではなく幼さをもっとイメージしてたので…。
それでも水原希子さんの演技力と求められるものに応えようとする全力の姿勢は素晴らしくて、人の心を弄びながらそっぽ向く感じが良い。
ノルウェイの森のミドリ演じてた時もそうだったけど、ミステリアスさの面においてはかなり良かったです。
ただ出会った全員の男を狂わせられるかといったら違って、顔立ちとオーラの高貴さが「刺さる人には刺さる」レベルで、そのズレが大きな違和感となってこの映画全体のつかみ所のなさを表しています。
そもそも妻夫木くん、やっぱりイケメンすぎて説得力ね〜〜〜!!数々の駄目人間、へたれ人間演じてきてほとんどが役にピッタリあてはまるぐらいだったのにこの映画には合ってない…。なんだか社会的に強そうに見えてしまう。本人が結婚したからとか抜きで、昔よりも更に凛々しさに磨きがかかってるのか、妻夫木君のへたれ役、浮きまくりの違和感しか感ぜず…。

原作の薄い場所と濃い場所と大根監督の濃い部分と薄い部分が見事にかみ合ってなくて結果無味無臭の平淡なつかみ所のないような映画になってしまっている…。

ホラーテイストの流れにするならきちんとやってくれ…、なんで最後パーティ会場に場所を移しているのかわからなくて、あの水浸しの人がいない空間も意味が分からなくて、原作の本屋に駆け込んで乱闘する方がまだよかった、意味がわからない…。

安藤サクラが最高の演技をしていました。
過剰だけども原作以上の不可解さと近寄り難いけど魅力ある姿が最高でした。あと学んだ事は、松尾スズキ≒リリー•フランキー。

やりたいことはわかるし言いたい事もわかるけど過剰すぎてすこし興ざめてしまう箇所が多い。
キスラッシュの時の奥田民生ぶつ切り場面変換とか一番のめり込め初めなのに全然白けてしまったし…。
オーガニックスーパーでの喧嘩はすごくよくて狂わせガールのどこに地雷潜んでるかわからない緊張感とコウロキの気の利かないけど一生懸命繋げようとして空回りしてるあの場面だけでもなれない男と狂わせガール〜〜〜〜!って感じだったので。

狂わせるガールに男たちが狂っていく〜〜!という感じを出すにはいろんな方向性がずれていて求めているのと別の作品になっているのがとても残念でした。
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