「フォックスキャッチャー」として映画化された、大富豪デュポン氏がみずからスポンサードしていたアスリートを殺害した事件の裏側を追うドキュメンタリー。
大富豪は憧れの存在を欲した。
はじめは近づいただけでその人たちの仲間になれた気がしたのかもしれない。それでもコンプレックスは消えず、ますます“なりたかった自分”と“現実の自分”との差を見せつけられただけだった。
そして憧れの存在だったはずの彼らへの想いが変化していく。
事件を観察すると、鬱屈したコンプレックスが爆発してマウンティングをこじらせたような単純なものが原因ではないらしい。
愛した相手が自分の気持ちを理解してくれないもどかしさ、言語化できないような心情は悲劇を招くことがある。